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□はじまりの日
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パーティーが終わって、ライアンに呼び出された。


連れて行かれたのは、男子寮のライアンの部屋。


3人部屋に同室の人たちはいない。


私を椅子に座らせた後、部屋の鍵を掛けた。


………………怖い。


一体何が始まるの?


クリスマスの時みたいにキスされそうになったりする?



「カリス、話があるんだ」



ライアンは私の前に膝立ちして私を見上げている。



「何?何かヘンだよ?何で鍵かけたの?」


「誰にも聞かれたくなかったから。誰にも邪魔されたくなかったから」



ライアンは私の目を見て真剣な表情で話す。



「俺、待つのも我慢するのも得意だ。でも、この状態で2か月君に会えないのは、やっぱり、どうしても、難しい」



私も、とは口に出来ない。


ましろには背中を押してもらったけど、でも、すぐには難しい。


好きな人には隠し事はしない方がいいと思うし、それを話すのは抵抗が大きい。


どうにも出来なくて、ライアンを見詰める。



「カリス、俺は、君の事が好きだ。君がどんな病気でも俺が受け止める。俺と付き合ってくれ」



どんな病気でも……………


ライアンも私の病気の事気付いてるの?


そんなはずない。


ハーマイオニーはましろが何の研究してるか知ってたから気付いた。


ライアンは知らないはず。



「ライアン何言ってるの?私がどんな病気だっていうの?」


「間違ってたら、ごめん。カリス、君は………『人狼』じゃないのか?」



心臓が跳ねる。


息が止まりそうになる。



「俺、気付いてた。君が決まって早く部屋に戻る日があるのに。聖マンゴから届く薬は新薬だろ?俺、父親が聖マンゴの癒者しててさ、ましろがやってる研究の事、聞いた事があった。だから…………」


「いつから?………いつからそう思ってたの?」



私の問いかけに、ライアンは申し訳なさそうな顔をした。



「ホントは最初から。あんまりタイミングが良かったから。で、面白半分で君の事見てた。でも、見てるうちに病気の事なんかどうでもよくなって、目が離せなくなって、好きになってた」



ライアンの顔がゆがむ。



「もし君が俺と付き合ってくれなくても、誰にも話さない。そんな………脅迫まがいの事はしない。ただ、君が好きなんだ。ダメなら………あって欲しくないけど、その時はすっぱり諦める」



ライアンは黙ってしまった。


私の返事を待ってる?


でも、どうしたらいいんだろう?


この沈黙に耐えられない。



「あの、私………」



何て言ったらいい?



「カリス、俺の事、嫌い?」


慌てて首を振る。



「じゃぁ………好き?」



首を振るのを止めた。


ライアンに嘘吐きたくない。


ましろ、いいんだよね?


ゆっくりと頷いた。


膝の上に置いていた手をがしっと握られた。



「カリス、ホントに?俺の事好き?」


「うん。好き」



ライアンは立ち上がり、私をがばっと抱きしめた!!



「やった!!俺、大事にする!カリスの事守る!」



ぎゅぅぅっと抱きしめられ、息が出来なくなる。



「ライアン、くるしっ!」


「あ、あぁごめん!痛かった?大丈夫?」



ぱっと体を離し、私の顔を覗き込んでくる。


心配そうな顔がおかしくて、笑ってしまう。



「やっぱりカリスは笑ってる顔が一番可愛いな」



ライアンは優しく抱きしめてくれた。






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