女王様と俺

□学校
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そして、新学期。


大広間での紹介では、あまり歓迎されていない空気。


それでもハリーたちやましろ、リーマスにつられて何人かは手を叩いた。


想像通り過ぎて、笑いが出そうだ。


ムーディーの時なんか、3人しか拍手してなかった。


彼の容貌に慣れるのは大人でも時間がかかる。



「シリウス、口元緩んでるよ」


「あぁ、悪い」



リーマスに注意された。


食事が始まって、会話できるようになる。



「さっきの、子どもたちの反応が素直で面白かった」


「だろうと思った。その分だと心配は要らないかな?」


「何だ?」


「君が子どもと一緒になって授業中に遊ぶんじゃないかって、ね」



それは、失礼じゃないか??



「私じゃないよ。ましろが言ってたんだ。精神年齢は同じくらいだって」



反対側に座るましろを睨む。


視線に気づいたのか、ましろはこっちを見て、手を振った。


………喜んでるし、笑顔だし。



「ダメだ。ましろにはいつになっても勝てる気がしない」


「同感だよ。今は年下なのに、お姉さんな感じが拭えない」


「出会いが強烈過ぎたな。アレを覚えてなかったらどうだったろう?」



リーマスが少し考え、頭を振った。



「同じだと思う。一瞬は好きになるだろうけど、結局手に負えなくなる。セブルスは特別なんだろうね」



トクベツ、か。


ましろとスネイプはお互いに”トクベツ”


俺とミシェルもそうなれているんだろうか?


ミシェルが俺以外の男を知ったら?


あ〜〜〜っ考え出したらと止まんねぇ。


余り行けなくなるというのに、会いたさで爆発しそうだ。



「ねぇ、シリウス。君、夜中の散歩、始めるのかい?」


「は?」


「いや、夜の見回りの後は行って良いよって教えた方がいいってましろに言われてね。授業の打ち合わせは休み時間に出来るし………あ、マダム.フーチの方はきちんとしておいた方がいいよ」


「………知ってるのか?」


「え?あぁ、彼女がいる事だけね。詳しい事、教えてくれる?」



慌てて頭を振る。


まだ、もう少し内緒にしておきたい。



「まぁ、知りたくないって言ったらウソだけど、その気になったらでいい。君の人生は始まったばかりだからね」



そうか。


それで寛大だったのか。


ダンブルドアやましろの態度の意味が分かった。


ホグワーツは先生の通勤を許可していない。


休暇中も出入り出来るのは昼間だけ。


セキュリティーの問題だろう。


夜中の散歩などもっての外だ。


それなのに、夜な夜な出入りする俺を窘めるどころか、夕方から出ていい、なんてオカシイと思ったんだ。


俺の12年を取り戻してやろうと考えたんだな。



「俺の周りって、いい奴ばっかだな」


「今頃気づいたのかい?報われないねぇ」



リーマスが肩をすくめる。



「君が幸せになる事が彼らの………特に、ましろの為になる。彼女、ああ見えて気にしてるからね」



スネイプと楽しそうに話すましろ。


俺がアズカバンに行った事はましろの所為じゃないのに。



「勿論、私にも言えることだ。彼女の恩に報いるには私が幸せになる事だ」


「やっぱ、ましろには勝てないな」


「負けると分かってる勝負はしないのが賢いやり方だよ」



俺達は小さく乾杯した。




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