女王様と俺
□穏やかな日々
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何事もなく2月になった。
小娘は彼氏と良くいるので、遠目でそれを眺めるだけ。
ハリーは大抵3人組で移動するので、遠目でそれを眺めるだけ。
はっきり言って、ボディーガードは無用じゃないか?と俺が思い始めたとしても、怒られないと思う。
裁判が終わったあの日から、俺は平日2回と隔週末はミシェルの所に行くようになった。
週末の見張りをリーマスと交代でする事にしたからだ。
きっかけは、ムーディーだった。
いつものようにラジオ目当てに行ったムーディーの部屋で、コーヒー飲みながらニュースが始まるのを待つ。
「お前達、いっつも一緒だな?週末くらい彼女とデートせんのか?」
何を思ったのか、突然ムーディーが言いだした。
「出来ないだろ?何があるか分からないんだ」
出来るんだったら毎週末行っている。
「私は、相手がいませんから」
リーマスが苦笑交じりに答える。
「ほぅ。シリウスにはおるのか。で?いい女か?」
このおっさんはっ!
「決まってるだろ?当たり前のこと聞かないでくれ」
くくっ、とムーディーは喉を鳴らした。
「では、リーマスには………わしがいい女を紹介してやろう」
「「は?」」
間抜けな顔をしていたと思う。
リーマスの顔が間抜けだったから。
「あの〜〜どういう事ですか?私に女性を紹介する、と聞こえましたが?」
リーマス、俺にもそう聞こえた。
「その通りだ。最初、お前達がデキてるのかと思うとったが「「はぁ??!!」」違う事が分かったんでな」
何をどうしたら、”リーマスと恋人同士”なんて思われるんだ?
「ムーディー、俺は、女が、好き。分かるか?」
「私もです。何が悲しくてシリウスなんかと!」
「それ、俺のセリフだ。一緒にいるのは授業の都合だ。部屋が近いのもその所為。ゲイの存在は認めているが、俺はゲイじゃないっ!」
「分かった。分かったから、話させろ」
ムーディーが俺達の前で手を振った。
「いいか?わしはリーマスが気に入った。だから、わしのお気に入りの娘と結婚させてやる」
「はぁ?」
声を出したのは俺だけ。
リーマスは、息を飲んだ。
「娘と言っても本当の娘じゃないぞ?」
「知ってるよ。あんた、子どもいなかっただろ?」
ムーディーは頷いた。
「娘のように可愛いがっとる子がリーマスをえろう気に入っておってな。それで「あっ!見回りの時間だっ!!」え?」
リーマスが突然立ち上がり、話しかける間もなく部屋を飛び出して行った。
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