女王様と俺

□春
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カツン、と背中で足音がした。



「ほう。部屋にご招待いただけるとは光栄ですな、シリウス・ブラック」


「やぁ、セブルス。どうしたんだい?」



うげっ!


聞かれてた?よな。



「ルーピンの所にもカードを置いてきたところだ。が、丁度いい。ブラック、我輩たちをもてなせ」


「へ?」


「わざわざ、我輩たちが訪ねてやるのだ。それ相応の物を用意してあるのだろうな?」



相応のモノ?



「あ〜〜〜何が要るんだ?」


「シリウス、私達が喜ぶものだよ」


「さぁ、開けろ。いつまで廊下に立たせておく気だ?ルーピン、躾がなっておらんようだな」


「躾ってなんだよ、躾ってっ!」


「まぁまぁ、シリウス、開けてよ。廊下じゃ話も出来ないよ」



リーマスに宥められ、しぶしぶ鍵を出し、ドアを開ける。


と、俺の許可なしに、スネイプもリーマスも中に入り、勝手にソファに座った。



「あ、セブルスも食べる?これ、シリウスから買ってもらったんだけどね」



リーマスは紙袋からがさがさとチョコの箱を出した。



「要らん。ブラック、早くしろ」



俺はドアを閉め、棚からグラスと酒を出す。



「これしかない。嫌なら、何も、ない」



3つのグラスにシングル分注いで、それぞれの前に置いた。


リーマスはチョコを食べてから、スネイプは香りを嗅いでから、それぞれ流し込んだ。


おいおい、一応いい酒なんだぞ!


もっと味わえよっ!!


で、感想なんか言ってみろよっ!!!



「何をぼ〜〜っとしてるのだ?お前は飲まないのか?」


「飲むっ!」



慌ててグラスを開ける。


こいつらに飲ませるくらいなら、俺が飲む!!


2杯目を注ごうとしたら、リーマスが腕を押さえた。



「シリウス、まだ夕方。夕食の前からそんなに飲んじゃだめだよ」



はぁ、そうだった。


ホグワーツはこれがネックだ。



「そろそろ話しても?」



空っぽのグラスを前にスネイプが口を開いた。


スネイプに向き直る。



「うん、どうぞ。犯人見つかった?」


「恐らく、な」



スネイプは一枚のカードをテーブルに出した。



「あ〜〜〜これ?」



リーマスが取って一緒に眺める。


カードには一言。



” ひどい事して ごめんなさい ”



「今日、ミス.ローダンスがましろへの手土産に買ったチョコレートの袋の中に入っていたものだ」


「つまり、カリスへの嫌がらせは終わったって事?」


「だと思う」


「なぁ、これ…この字……見覚えないか?」



俺はスネイプにカードを渡しながら訊く。


添削はリーマスがやってるが、一応生徒達のレポートには目を通している。


生徒の得手不得手や癖を知る一番早い手段だからだ。



「だが、ましろは知る必要はない、と」



スネイプはカードをローブのポケットに入れた。



「そうだね………彼女はこれからもホグワーツで過ごして行かなくてはならないんだ。余り大げさにしない方がいいだろうね」



リーマスはすぐに分かったってか?


ましろはって事は、スネイプも分かってるのか。




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