女王様と俺
□ホテル
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裁判に勝って上機嫌のダンブルドアは、行っておいで、と言ってくれた。
「但し、朝食に間に合うよう戻ってくるように。出来るかのう?」
「はい。ありがとうございます」
「あぁ、明日の朝食は7時半に始まる。遅れないようにな」
何故7時半?と思ったが、外泊許可を貰った嬉しさで深く考えなかった。
軽く頭を下げ、足取り軽く魔法省を出る。
事務所に行くか悩んだが、やめて事務所近くにある世界的に超有名な某ホテルにチェック・インした。
フロントでカードを貰い、ミシェルにメッセージを書く。
” 会いたい。今☆★☆ホテルの部屋にいる。 S・B ”
事務所へ届けてくれるよう、ボーイに頼む。
ここしか空いてない、と渡された鍵はスイート。
エレベータで部屋に行きソファに座った途端、ノックの音。
早すぎるだろ?
カードを頼んでから5分も経ってないと思う。
「ブラック様、ご不在でしょうか?」
ノックの後の声はどうやらホテルマンらしい。
「今、開ける」
覗き穴から確認してドアを開けると、ホテルマンが立っている。
俺との間にはワインのボトルやグラスが載ったワゴン。
「………何だ?」
頼んでない。
いや、ミシェルが来たら頼もうとは思っていた。
裁判に勝ったお祝いをしたくて。
「オーナーからの気持ちでございます。中に入ってもよろしいでしょうか?」
「待った。オーナーって、誰だ?」
嫌な予感しかしないが、ここもか?
「フランク・ホリーと申します。くつろいで欲しい、と伝言も預かってきております」
あ〜〜〜ロイとカメリアじゃなかった事を喜ぶべきか。
体をずらしドアを支えてやると、ホテルマンは恐縮しながらワゴンを中に進めた。
テーブルの横でコルクを抜こうとする彼を止める。
「あ〜〜まだいい。酒は連れが来てから。代わりにコーヒーを淹れてくれないか?」
「かしこまりました」
ホテルマンはキッチンに入って手際よくコーヒーを淹れる。
「すまんな。これって、仕事に入ってないよな?」
「構いません。大事なお客様のお一人だと伺っております」
俺の前にコーヒーを置いて、彼はドアに向かう。
「御用の際はいつでもお呼びつけください」
「あぁ、頼む」
彼が出ていってから、コーヒーを味わう。
美味い、な。
一人になった事と美味いコーヒーのおかげで、少し不安になった。
突然あんなカードを送って、ミシェルには迷惑じゃなかったか?と。
ダンブルドアの裁判は終わったが、最初の”厄介な仕事”が終わったかどうか知らない。
部屋に来て欲しくない、と言われていたのでホテルに部屋を取ったが、そもそも会う時間はあるのか?
来てくれれば嬉しいが、その所為でミシェルの休みがなくなるのは、よろしくない。
はぁ、失敗したかもしれん。
コーヒーを飲み終わり、カップをキッチンに持っていこうとすると、ノックの音が。
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