女王様と俺
□結末
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リーマスと共にダンブルドアに呼ばれたのは、三校対抗試合の前日。
会場警備の手が足りないのか?と二人で話しながら校長室に入ると、ジェームズが迎えてくれた。
「やぁ、久しぶり!元気だった?」
「何で?分かったのか?」
「おぉ、揃ったようじゃな。さ、お掛け」
俺の問いにジェームズが答える前に、後ろからダンブルドアに促された。
リーマスと二人、顔を見合わせる。
ソファには既にスネイプとクラウチがいた。
ジェームズが俺達の背中を押す。
二人の向かいに三人並んで座る。
一体何が始まるんだ?
「さて、リーマス、シリウス。彼がバーテミウス・クラウチだと知っておるな?」
ダンブルドアが俺達の紅茶を用意した後、尋ねた。
頷く。
が、実際はこんなクラウチにお目にかかった事はない。
この男はいつもぴしっとしていた。
髭も髪もぼさぼさに伸びて、手入れをしてない事はすぐに分かるし、何より、少しやつれている。
この前………2月の末、第二の課題の後、何があったんだ?
「彼が本物のクラウチ。ホグワーツに来ておったのは偽物じゃ」
「は?」
ダンブルドアは紅茶のカップを手に取った。
終わりか?
「もっと分かりやすく教えてもらえないかな?」
リーマスはスネイプに向かって聞いた。
スネイプはダンブルドアを睨んだ後、小さく息を吐いて俺達を見た。
「ポッター(子)を狙っていたのは、ミスター.クラウチの息子、バーテミウス・クラウチ.Jr。ポリジュース薬で変身してホグワーツに潜り込んでいた」
「そんな………あいつは死んだはずだ」
アズカバンで死にゆく声を聞いた。
父を呼び、母を呼び、助けを求めながら死んでいったあいつが………生きている?
「詳しい話は事が終わってからだ。明日の試合中、又は終った時に仕掛けて来るだろうと睨んでいる。そこで、我輩たちがヤツを捕まえねばならんのだ」
「今から捕まえれば良いじゃねぇか?」
「ポッターが襲われ、それが阻止された、という証拠を残したい。”復讐”など無意味だと知らしめるために」
「まさか、ハリーを囮に使うのか?そんな事させん!」
ハリーが危険な目に会う?
許せる訳がない。
「話は最後まで聞け。そのために父親がいるのだ」
スネイプはジェームズを見た。
「そ。僕がハリーに変身するんだよ。ポリジュース薬でね。で、僕が襲われる瞬間に、君達が助けてくれるって作戦なんだ」
「つまり、私達はジェームズの警護と犯人確保をやるという事?」
リーマスの問いにジェームズが頷いた。
「なんだよ?ジェームズの警護なんて必要ないだろ?」
「僕はハリーになるんだよ?子供らしくふるまわなくちゃ」
俺達が話していると、あの、と小さな声が聞こえた。
「私を……私も連れて行って欲しい。……息子がこんな事をしたのは……私の所為だ…」
それまで黙ってうつむいていたクラウチだった。
「自分の立場を分かっているのかね?お前の息子を捕まえに行くのだぞ?」
スネイプの口調が若干厳しいものになる。
「分かって……います。だが、あの子を捕まえるのは、私がやらなくてはならない」
「何故じゃ?まさか『死喰い人』を捕まえるのが仕事だったから、ではあるまいのう?」
ダンブルドアが穏やかに問うた。
クラウチは頭を振る。
「息子がこれ以上罪を重ねない為に。あの子の罪のほとんどは私が被るべきものです」
ダンブルドアは、ふむ、と考え始めた。
「よろしい。では、バーティにはリーマスが付いて援助しておあげ。セブルスとシリウスはジェームズの警護じゃ」
俺達は頷いた。
「ハリーと交代するのは試合の直前とする。後はそれぞれが考えて行動するんじゃ」
ダンブルドアはドアを見た。
話は終わり、ということか。
俺達は席を立ち、校長室を後にした。
スネイプとクラウチは校長室に残ったままだった。
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