Short storise

□Birthday
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僕の前にリボンの掛かった箱が落とされる。

………なんて間の悪い………

ましろに誕生日の事が分かってしまう。

スネイプは前にましろが傷付いた顔してたって言ってた。

これ見たら、嫌な気分になるかもしれない。

「あれ?リーマス、プレゼント………もしかして……誕生日?」

僕は無理やり笑顔を作った。

どうしよう。

上手い嘘なんか考え付かない。

「あ〜〜そう。僕、今日が……誕生日なんだ」

僕はましろの顔を見ないで済む様にプレゼントに手を伸ばした。

これを楽しみに早起きしたのに、今は来ない方が良かったって思ってしまう。

「そっか。それで”誕生日”な訳だ。………誕生日おめでとう、リーマス」

え?

僕はましろを見た。

にこにこ笑ってる。

「ぁ、ありがと」

嫌な気持ちになってない?

「それ、彼女から?」

「違うよ!両親からだよ!!」

ましろに顔を覗きこまれ、顔が赤くなる。

「そんなに怒んなくても……ちょっとからかっただけじゃない」

怒った訳じゃない。

恥ずかしかっただけ。

でも、それを言うのも恥ずかしかったので、リボンを解いて箱を開けた。

思ったより大きなものが入っている。

拡張魔法をかけた箱に押し込んでたんだ。

お皿を隅にやって、テーブルの上に出す。

「………これって………クディッチだ」

箱から取り出す手が震える。

クディッチ競技場のミニチュアの上を選手達が箒に乗って飛び回っている。

ゴールポストも立ってるし、クアッフルやブラッシャーが選手達の間を行き交っている。

時々キラっと光るのは………スニッチだ!

嬉しさで心臓が飛び出しそうだ。

何もかも本物そっくりなのに、競技場の両端には、あるはずのない棒が2本ずつ立っていた。

「凄いじゃないか!!これ、ダイアゴンのクディッチ専門店に飾ってあるの、見た!!」

ものすごく面白いゲームなんだ!と、ジェームズが叫び声をあげた。

「リーマス、これ、その棒を持つと、選手をコントロール出来るんだ!くぁぁぁっ!僕もこれおねだりすれば良かったっ!!」

「すっげぇ………チェイサーが俺の思う通りに動く」

シリウスが僕より先に棒を持って、遊び始めた。

「ちょっと、何でシリウスが先に遊んでんの?先ずは僕でしょ?」

ジェームズが隣のシリウスを突く。

「ってか、最初はリーマスでしょ?シリウスもジェームズも手離して」

ましろが呆れた様な声を出し、二人を窘めた。

「ほら、リーマス。やってみてよ」

ましろに促され、僕は両手で棒を握った。

「それね、右側の棒はチェイサーとシーカーを動かせるんだ。もう片方はビーターとキーパー。2対2で対戦も出来るんだよ」

「一緒に遊ぶ相手がいなかったら?」

「その時は勝手に動いてくれる」

「へぇ、良く知ってるね」

「お店で店員に摘み出されるまでやってたから」

ジェームズとましろの声を聞きながら僕はクアッフルを持ったチェイサーを動かす。

「動かしたい選手を見て、考えるだけでそれが動くんだよ」

僕はチェイサーにゴールを狙うように指示する。

他のチェイサーにサポートするように指示する。

ビーターにブラッシャーを叩き返させ、チェイサーがシュートする。

が、キーパーに邪魔された。

「2本コントロールするのは難しいね」

一度にいろんな所を見ないといけないから大変だ。

でも、すっごく面白い。

みんなで遊べるし、何より自分が本当に選手になったような気分になれる。

パパとママに手紙書かなきゃ。

「うん。最初は1本で練習して、で、慣れてきたら2本持って戦えるようになるんだ」

僕みたいにね、と、ジェームズは胸を張った。

………出来る様になる程お店でやったんだ。

そりゃ、追い出されるよ。

「ねぇ、僕もやって良い?」

「俺もっ!」

「うん、いいよ」

僕の反対側でシリウスとジェームズが棒を持って遊び始めた。

「丁度良かったじゃない。ジェームズVS.リーマス&シリウスで遊べるね」

「うん」

話しかけられて隣を見れば、ましろは席を立っていた。

「授業遅れたくないから、じゃね」

「ぁ、うん」

ましろはスネイプと大広間を出て行った。

僕は二人を見送って、周りに目をやった。

………誰もいない。

「ね、大変だよ!誰もいない!!」

二人に声をかけるが、夢中になっていて気付かない。

僕はテーブルを回りこんで、二人の肩を叩いた。

「ジェームズ、シリウス、もう授業始まっちゃうよ!!」

「あっ!!もう少しだったのにぃ〜」

「何だよ、邪魔する…な………よ」

シリウスの不満げな声の途中で、授業開始の鐘が鳴り響いた。

「「「まずいっっっ!!!」」」

僕は急いで箱の中にゲーム盤を入れ、二人と一緒に部屋に戻る。

教科書を持って薬草の温室に走る。

先生に一人3点の減点を貰い、ため息を吐きそうになって、大事な事を思い出した。

「あ〜〜〜〜!!!!!」

「ミスター.ルーピン。あなたは罰則も必要なようですね」

「………すみません、先生」

僕は授業の後の後片付けを言い渡された。

クラスみんなの視線を受けながら、3人で机に向かう。

「何で大声あげたんだ?」

机に着くと、声を顰めたシリウスに聞かれた。

「僕、”ほっぺにキス”おねだりしてない」

「「ああ〜〜〜っっ!!!僕/俺達もだっ」」

二人がさっきの僕のように叫んだ。

「はい!そこっっ!!授業の後、一緒に残りなさいっっ!!」

「「はい、先生」」

3人一緒にため息を吐く。

はぁ………

授業の後、みんなが使った手袋を集め、机の上の土を集めて捨てる。

急いで昼食を取りに行ったが、ましろもスネイプもいなかった。

午後の授業を終え、放課後城中を走り回ったが、二人とも見つけられず。

夕食の大広間でも会えなかった。

「もう来年まで言えそうにないや」

誕生日だから、って思い切って言おうとしたのに。

「僕は自分の誕生日におねだりしてみるよ」

「だったら、その時一緒に言ってみようぜ、リーマス」

僕は頷いてステーキ・アンド・キドニーパイを口に入れた。

「ねぇ、リーマス。部屋に戻ったらあのゲームしない?僕が相手してあげるよ」

「俺もやりたい!」

「課題は?」

「そんなの後でいいよ。二人まとめて僕が相手してあげる」

「リーマス、ジェームズ泣かすぞ」

「うん。さくさくっとやっつけちゃおう!」

僕達はうきうきした気分で夕飯を食べた。

1時間だけするはずだったゲームは、熱中し過ぎて、気がついたら消灯時間だった。

僕達は課題をやってない事に気付き、ベッドの上で布団をかぶって杖明りを灯した。

シーツにインクの染みがつかないように細心の注意を払いながら、夜中まで課題をやった。

嬉しいんだか悲しいんだか分からない。

これが僕の12歳の誕生日。



☆★☆★☆


ジェームズの誕生日は3/27だって分かったので出しましたが、シリウスのは………分かりません。

アルバスのも7〜8月頃ってとこまでしか分かんない。

これ、捏造しても良いかなぁ?

いかんよなぁ。

ってことは、触んない方が無難だな。

どなたかご存知の方は、ご一報下さると嬉しいです。


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