Loving You 2
□友or親
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私がいるのに、パパはハリーを問い詰める事にしたようだ。
「座りたまえ」
ハリーは私に気付いて少しだけ目を見開いたが、すぐに椅子に座った。
ハリーの前にパパは立ったまま。
ハリーに嫌味を言うパパは見たくない。
そこで私は考えた。
話を端折っちゃおう!
「ポッター、マルフォイ君がたった今、我輩に奇妙な話をしてくれた」
ハリーは黙ったままパパを見ている。
「その話によれば、彼が『叫びの屋敷』まで登って行った所、ウィーズリーに出会ったそうだ………一人でいたらしい」
パパが話し続ける間、ハリーは黙って話を聞き続けた。
う〜〜ん……どの辺で入るかが問題だな。
パパの問いかけに、ハリーが何とか答え始めた。
………そろそろかな?
「マルフォイは多分幻覚を……」
「マルフォイは幻覚など見てはいない」
パパはハリーが座っている椅子の肘かけに手を載せて顔を近づけた。
「わぉ!」
私は大きな声を出す。
二人が揃って私を見た。
「あ〜〜すみません、先生。ちょっと、その……」
「なんだね、ディゴリー?」
パパは私を睨んだ。
「先生がハリーにキスするように見えたので、つい……お邪魔してすみません」
パパは自分とハリーの距離を見て、顔を離し、最初の体勢に戻った。
「ぁ、私の事はお気になさらず、続けて下さい。その……キスの手前から」
「何故我輩がポッターに………過剰なスキンシップをせねばならんのだ?」
「ぃや、そういう風に見えたんですよ。先生もこっちに来て下さいよ」
パパは私の傍に来た。
「はい、柄杓持って。かき回してて下さいね」
私はパパに柄杓を渡して、ハリーの前に立った。
「見てて下さい」
私は体を屈め、肘掛に手を置いた。
ハリーは私の顔が近くに来たことで目を丸くした。
「ハリー、私と話を合わせるんだよ」
小声で囁くと、ハリーは目を閉じた。
分かったらしい。
「ディゴリー、分かったから離れろ」
パパの不機嫌な声が聞こえて、私は体を起こした。
「無理やりハリーを襲ってる様に見えたでしょ?」
頷きはしなかったが、パパも納得したようだ。
私はパパの傍に戻り柄杓を受け取ると、鍋に突っ込んだ。
かき混ぜながら、思いついたハリーのアリバイを話す。
「あんな状態で、ハグリッドの小屋に行ってた、なんて言えないと思いますよ」
パパはハリーの傍に向かっていた足を止めた。
「今、何と?」
「え?ハリーはハグリッドの小屋にいたはずだって言いました」
「何故君がそれを知っているのかね?庇うつもりか?」
パパはイラついた声を上げる。
「まさか。ちょっとした推理を言っただけです。間違ってないと思うけど………」
私がパパからハリーに目を向けると、ハリーは頷いた。
パパはハリーを訝しげに見る。
「勿論先生もご存じでしょうが、昨日からハグリッドがヒッポグリフを連れてロンドンに行ってますよね?
ハリーは小屋にいるファングの世話を頼まれたんです。餌と水をあげて欲しいって。そうだったよね?」
「うん。ぁ、そうなんです、先生」
ハリーは私に返事をしてその後、慌ててパパに言った。
「朝、先生にお会いした後、寮に戻ろうとして、その事を思い出したんです。それからはハグリッドの小屋にずっといました」
「ポッター、犬の世話にそれ程時間がかかったとは思えんが?」
「僕、犬の世話が好きなんです。マージおばさんの犬の世話を任されていた位です」
ソレは初耳だぞ、ハリー。
あの犬には追いかけられてたんじゃないのか?
「では何故あの場にいたのかね?4階の銅像の陰に」
「僕………落し物を探していたんです。ポケットの中に入れていたはずの……
ハンカチが無くなってて………あそこの裏にあるんじゃないかと探していました」
よし!
上手いぞ、ハリー。
ちょっと詰まり気味なのは、この際目をつぶるよ。
パパはハリーをじっと見た。
………何考えてるんだ?
まさか、開心術?
地図の事を知られるのはマズイと思う。
「先生、質問です。マルフォイの言う事は信じて、ハリーを疑う根拠は?」
パパはハリーから目を離して私を見た。
「誰もが皆、ポッターを聖人君子に奉りあげようとしている。が……実際は愚かで傲慢な子どもだからだ。その父親と同じように」
パパの言葉に私だけでなく、ハリーも息を飲んだ。
地図の事なんか、頭の中から吹っ飛んだ。
これを言わせたくなかったのに!!
「ポッター、君の父親も酷く傲慢だった。少しばかりクディッチの才能があるからと言って、自分が他の者より抜きんでた存在だと考えていたようだ。
友人や取り巻きを連れて威張り腐って歩き……瓜二つで薄気味悪い事よ」
パパの話を聞いてるうちに、私はある事に気付いた。
パパはハリーに向かって話しているが、それはそのまま私にも当てはまるんじゃないか?
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