Come!
□話す
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「ましろ、大丈夫かの?」
セブが戻ってきたんだと思ってベッドに起き上がったら、おじいちゃんも一緒だった。
「あ、おじいちゃん。ごめんなさい、ちょっと気分が悪くなって………」
おじいちゃんはにっこり笑って隣に座り、手を握ってくれた。
「よしよし、分かっておるよ。食事は済んだね?………よろしい。では、少しだけ教えてもらおうかの?」
何の事だろう?
おじいちゃんに話さなきゃならない事?
「ましろ、ディメンダーに会って何を見たんじゃ?」
っ!!どうして分かったの?!
「………何も見てな「ましろ?わしらに内緒は無しにしてくれんかの?」………ステラに聞いたの?」
「なんと!!友人に口止めを?!………ましろ、その事がどんなに彼女を苦しめるか、考えなかったのかの?………後で謝ってくるんじゃ」
頷く。
「では、話してくれんかの?」
はぁ、どうしてこの人たちは何でも分かっちゃうんだろう?
ちゃんと話せるだろうか?
一つ息を吐き、話し始める。
「建物が壊れて………人が…死んでた。………た…く……さん……血が…流れ…てて……がれ…きの中に……わっわたしっ………立ってて……………っくっ……」
息が出来ないっ!
胸が苦しいっ!!
「ましろ!大丈夫じゃ。ゆっくり息を吐いて、そう、ゆっくりじゃ。………落ち着いて。セブルス、水を」
セブがくれた水をゆっくりと飲み干す。
「ふむ、話せない様じゃな。何かの術と言うよりは精神的なものじゃろう」
そうかもしれない。
出来れば誰にも話したくない。
「………お…じいちゃん………あれは……わ…たしの……経験……?……」
まだ上手く話せなかった。
でも、どうしても確認しなくちゃ。
「そうじゃ。アレは幸福を吸い取り、最悪の経験を呼び起こさせる」
間違いないんだ。
アレは、私の経験した事。
何であんな事に?
「ましろ、今夜はもう休むといい。寮へはミネルバに行ってもらう事にしようかの。では、セブルスもお休み」
おじいちゃんはニコニコしながら出て行った。
「ましろ?気分はどうだ?」
セブが横に座って背中を撫でてくれる。
「お前が何を見たか知らんが、アレは校内には入ってこない。分かるか?」
うん、でも一回だけ入ってきたはず。
いつかのクディッチの時。
「で、何時からお前の婚約者はルーピンになったんですかな?」
わかんないっ!
頭を振ろうとして思い出した。
フレッド&ジョージの笑顔。
「ぁ……………ちょ…………っと…し……ご……かい……」
あれ?まだ上手くしゃべれない。
「…セブ……しゃ……べ……な………い……………」
「ましろ?きちんと話せないのかね?」
訝しげに目を細めるセブに話そうとするが、頭で考えた言葉が声にならない。
「こ……とば………が…………で…こ…な……い」
こんなことになるなんて、吸魂鬼の項の何処にも書いてなかったよ?
「ましろ、恐らくショック状態が治ってないのだろう。はっきりした事は医務室に行けば分かるだろうが………行くかね?」
嫌だ!ここにいたい!
セブの側にいる!!
頭を振ってセブに抱きつく。
「わかった。着替えて休んだ方がいい」
着替えはリントに持って来てもらい、セブの部屋のシャワーを借りて、セブに抱きしめてもらって眠る。
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