Come!
□行く
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一週間、セブの部屋でごろごろしていたが、そろそろ復帰の時だろう。
あの後、セブはなるべく私の側にいてくれたし、食事も普通に取れるようになった。
アルはもちろん子ども達の事を考えると胸が痛んだが、それでも言葉は出るようになった。
あの時叫んだのが良かったのかもしれない。
今まで彼らの事が頭をよぎらなかったのは、記憶に蓋をしてた所為だと思えるようにもなった。
但し、愛里と愛瑠に関してはまだ認め切れていない自分も存在している。
セブに話したら、当たり前だと笑ってくれた。
「それが普通だろう。私は推測を話しただけだからな」
そう言いながら、抱きしめてくれる。
「あの時は、ああ言うしかなかった。他に……言葉を知らなかったのだ。すまなかった」
「うん、もう大丈夫だよ。どんな私でも受け入れてくれるセブがいるから。………セブ、ありがとう」
本当にこの人がいなかったら、私は壊れていたかもしれない。
セブに出会えた自分の幸運に感謝だ。
『フェリックス・フェリシス』はやっぱり人にあげて正解だったかな。
「セブ、そろそろ普通の生活に戻るよ。もちろん辛くなったら一番にココに来る。セスやリントにも迷惑かけると思うけど、溜まった課題が恐い」
セブの体が震えてる。
………苦笑してるの?
「そうですな。我輩の課題だけでも羊皮紙5枚は出したはず」
「へ?……その期限、何時までなの?」
「次回の授業まで。ということは明日までですかな?」
体を離して顔を見る。
………ニヤニヤしながら嫌な事言うなぁ。
「はっ!リーマスのレポートどうなったんだろう?」
そもそもアレを聞きに言ったのが始まりだった。
「あぁ、それならもう提出済みだ。アレで良いそうだ」
言ってなかったか?みたいな顔して!
きっと他にも内緒があるに違いない!!
「今からリーマスのトコに行ってこようかなぁ。一枚分足りなかったから謝んなきゃ。授業の邪魔もしちゃったし」
「ダメだ!あの部屋に一人で行くなど、狼に子羊をあげる様なもの。我輩も一緒に行く」
ははっ、子羊だって。
セブの目はおかしい。
「じゃぁ、連れてって下さい。お願いします」
「では、鍵を。………職員室から来るのに校長が使ったのだ。だからルーピンも知っている」
あぁ、倒れたまま、ここに運び込む訳にいかなかったんだ。
「分かった。じゃぁ、リーマスの部屋へ」
ノックして声を待ち、ドアを開けた。
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