Come!
□残る
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ハロウィンの朝、いつものように談話室に下りたら、ミシェル達がコートを持っている。
これは、もしかして………
「おはよう、みんな。朝食に行くのに、どうしてコート持ってくの?」
「あれ?ましろは持っていかないの?今日はホグズミードよ」
やっぱり、みんな行くんだ………
「私、行かないの。話が出ないからみんなも行かないんだって思ってた。」
みんなの目が丸くなる。
「私達、行くものだと思って話さなかったのよ。許可証なら今から提出すれば間に合うわ」
「………昨日課題せずに他の事してたから行けないわ。みんなで行ってきて」
昨夜は早くからセブの所に行って『脱狼薬』の改良版を作っていた。
前回よりも少し効果を強くして、これが成功なら変身しないはずだ。
調薬方法も変えたので、前日からの仕込みが必要だった。
「と、とにかく、食事に行きましょう。お腹が空いてたら、暗い気分になるばかりだわ」
キャシーが追い立てるように談話室から私を出す。
そうだ。たくさん食べて、今日は課題をがんばろう!
「私達、残るわ」
玄関ホールまで送ろうと大広間を出た時、ミシェルが言った言葉にびっくりだ。
「なんで?私なら大丈夫よ。今までもこんな事あったでしょ?」
そう、過去二年間でホグズミードに行ったのは2回だけ。
いつもお留守番だった。
今更お留守番がイヤだなんて、言わないよ。
「私の所為でみんなが楽しめなかったら、そのほうが辛いわ。私の分まで楽しんできて。お土産は………期待してるけどね」
ウィンクで三人を送り出し、談話室に戻ろうとすると、ハリーがドラコに何か言われていた。
ドラコ、何で突っ掛かって行くかなぁ。
「ディメンダーの側を通るのが恐いのか?」
「ドラコ、私も居残りなの。ディメンダーに会ったらよろしく言っといてね」
後ろから話し掛け、びっくりして振り向いたドラコの頬にキスして「お土産待ってるわ」と手を振って中に入る。
「ハリー!一緒に談話室まで行ってもらって良いかしら?」
「あぁ、ましろ。ホグズミードに行かないの?」
「うん、やってない課題があったから。な〜んて、許可証出し忘れただけよ」
それから何故忘れたのか、今朝提出しなかった理由も含めてハリーに説明した。
「えぇっ!僕なら絶対行くのに!」
「私だって、まだ二回しか行った事ないのよ。行きたかったわ」
はぁっとため息をつくと、ハリーに笑われた。
「ましろってさ、結構ヌケてるトコあるよね」
「くっ!………否定できない………いいの。これをばねに、NEWT試験はトップの成績でパスしてやるんだから!」
ハリーは更に笑って合言葉を言い、談話室に入って行った。
入った所で分かれて、部屋へ戻った。
机の上の課題を一つ終わらせ、気分転換にセブの所に鍵で行く。
「開いている」
「おはよう、セブ」
セブは机でレポートを採点していた。
「おはよう、ましろ。もうすぐ終わる」
一瞬こちらを見てから、またレポートに目を落とす。
相変わらず、仕事中のセブもかっこいいなぁ。
「うん。薬の熟成具合を見て来るわ」
研究室の奥にある鍋の中身はいい具合にどろりとしている。
煙も出ていて、まずそう。
「これでいいはずなんだけど、見た目も味も最悪そうだわ」
「しょうがないですな。効果を強めた分だけこうなるのだから」
セブが来て、鍋の中身を見た。
「ちょうど出来たようだ。………ルーピンの所に行くかね?」
「うん!ついでに謝っとこう」
薬をゴブレットに注ぎ、二人でリーマスの部屋を訪ねた。
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