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□大広間(1)
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◇ カリス ◇
汽車から出ようとして、思いっきりためらう。
こんな土砂降りの中、外に出るのなんて初めて。
「カリスは馬車?それともボート?」
ハーマイオニーに聞かれたけど、どっちか分からない。
「一年生と一緒にって言われた。どっちに行けばいいのかな?」
その場にいた全員が思いっきり同情の目を向けてくる。
「カリス、ボートよ。あっちで大きな人が叫んでるから行って。また後で会いましょう。グリフィンドールで待ってるわ。………溺れないでね」
最後の言葉が気になるけど、この雨じゃ溺れたのと同じ効果があると思う。
「じゃぁね、みんな」
走るのもバカらしいので、小さな子達の列に加わって、イッチねんせい!と叫ぶ大きな人の所に行った。
ホグワーツまでの道のりは、ママへの手紙には書けない。
心配掛ける事間違いナシだ。
道は暗いし悪いし、雨は強くなるし雷は鳴るし。
寒いのと恐いので、体が震えた。
ボートも、もう二度と乗りたくない。
玄関ホールに着いた時は、本当にほっとした。
大きな男の人(ハグリッドというらしい)に代わって、厳しそうなマクゴナガル先生が、私達を見る。
「入学おめでとう」
マクゴナガル先生は、組み分けの説明を始めた。
パパやママに聞いていたのと同じで、安心する。
「では、行きます。身だしなみを整えて、整列して、静かに付いて来るように」
身だしなみを整えてって………どうしろっていうの?
びしょぬれの髪をびしょぬれのハンカチで拭くのが精一杯。
列の一番最後に、大広間に入った。
あぁ!!パパ!ママ!助けて!!
みんなが見てる!!
心臓も半端なくなってる!
誰かが心臓を取り出して、耳の横に置いたみたい。
入るまではまっすぐ前を見ていたのに、視線を感じた途端、俯いてしまった。
これは聞いてなかった。
まるで品定めされたるみたい。
顔を上げる事が出来ないまま、中に入っていく。
私だけ前の子達より頭一つ以上大きいから、目立ちまくりだ!
早く終わって〜〜〜〜〜と、心の中で叫んでいたら、体の周りを暖かい風が吹いている事に気付いた。
なんだろう?
緊張が収まる。
これでもかってうるさかった鼓動も、体の震えも止まった。
でも、服も体も髪も濡れたまま。
私だけ感じてるのかと思って顔を上げると、前の子も、きょろきょろしてる。
私だけじゃないんだ。
私もきょろきょろしてみた。
で、前にある教員席で楽しそうに杖を振っているましろを見つけた。
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