Loving You

□ワタシハワタシデス
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ノックの音でドアを見る。

セディが立ちあがり、ドアを開ける。


「おかえりなさい、パパ、ママ」


ご両親だ。

私は立ちあがり、彼らが入ってくるのを待った。


「ただいま、セド。女の子の様子は?」

「起きてる。一緒にサンドイッチとレモネードを食べたよ」

「そうか」


セディの説明を聞きながら部屋の中に入ってくる。


「やぁ、気分はどうかな?」

「いいです。ご迷惑をおかけしました。親切にして頂いて、ありがとうございました」


私は型通りの挨拶をした。


「いや、いいんだよ」

「元気そうで良かったわ」


セディの両親はソファに座ることなく、私をじっと見る。

特におばさんは、泣きそうな顔で私を見てる。

………何かヘン?

何言おうか?


「あ〜〜サンドイッチ、美味しかったです。レモネードも」

「それは良かった」


おじさんは短く返事して、また私を見る。

…んっと………話続かないし、座れないし…………

どうしたらいいんだろうか?


「ぁ、私、ましろと言います。ましろ・こう」

「あぁ、自己紹介がまだだったね。セドは……終ってるか。私はエイモス。彼女は妻のアーシャ」

「よろしくお願いします」


私は二人と握手した。

おじさんもおばさんも、手が震えているように感じた。

何で?

聞いてみたいが、部屋には沈黙が居座る。

なんだかとっても居心地悪くて、体中がもぞもぞする。

どうしよう………

コンコン

途方に暮れてると、ドアがノックされた。

まだ家族いるんだっけか?

読んだ記憶ないなぁ。

おじさんが、失礼、と私に声をかけ、ドアを開けに行った。


「目覚めていました」

「おぉ、それは何より。元気そうかね?」

「はい。どうぞ」


おじさんは誰かと話して、ドアを大きく開けた。

中に入ってきたのは白いひげのおじいさん。

この人………


「校長先生、こんにちは」

「おぉ、セドリック。彼女の相手、御苦労じゃったのう」


やっぱりダンブルドアだ!!

ダンブルドアはセディに挨拶して、私を見た。

何て言ったらいいんだろう?

ダンブルドアはじっと私を見た後、思いもかけない程の早足で私の傍に来て、私を抱き締めた!!


「ぁのっ!なんですかっっ??」

「よう来た!よう来てくれた!ましろ………ありがとう」

「は?ぁの………間違ってませんか?」


確かに私はましろだが、ダンブルドアに抱き締められ、感謝される覚えは全くない。

ダンブルドアは体を離して私の両腕を掴み、顔を覗き込んだ。


「いいや。間違えてなぞおらん!この3日、お主をずっと探しておった。どれほど気をもんだ事か………」


なんだ?

どういう意味?

私を探す??


「意味が分からん、という顔をしておるな。が、じき全てが分かるようになる。お主には少々………辛い話となるかもしれんがの」


全てが分かると辛い?

後ろでバシッという音がした。

驚いて振り返ると、女の人が立っていた。

私はその人を見て息が止った。


「ましろ!!良かった!!アーシャの所にいるって知らせを受けた時は、神様に感謝したわ!!」


私の名を叫んで駆け寄ってきたのは、会いたかった人!


「ママ!!どういう事?何で?何が?どうなってるの??」


ママに抱き締められたまま、矢継ぎ早に質問する。

ママは私の顔を両手で挟み、私を黙らせた。


「ましろ、パニック起こさないの。大丈夫。私がいるんだから、ね」


おでこをくっつけ、目を合わせ、私に話すママは、いつものママだった。

私は頷いた。

例えママの着てる服が魔法使いのローブの様なものでも、登場の仕方が”姿現し術”の様でも、ママはママだ。

私は一人じゃないって事実の方が大事。


「よし、じゃぁ今からたくさんの事を話すわ。質問は全部話し終わってから。良いわね?」

「分かった」


ママは、それでこそ私の娘よ、と笑った。


「エイモス達はどうする?」


ママはおじさん達を見た。

ダンブルドアに聞いた訳じゃない事は、彼が既にソファにいる事で分かる。


「私達もここにいるよ。ましろが私達の元に来たのは………神様の思し召しだろうから」

「そう言ってくれると嬉しいわ。私には時間が無いから。でもセドリックには「いや。きっとこの子も役に立つはずだよ、アリス」………分かったわ」


ママは私の手を引いて、ダンブルドアの隣に私を座らせた。


「もう気付いてると思うけど、彼はアルバス・ダンブルドアよ」

「よろしく、ましろ」

「こちらこそよろしくお願いします。ぁの………お会い出来て光栄です」


ママの紹介で、私はダンブルドアと握手した。

その間に向かい側にはセディとおばさんが座る。

おじさんは立ったまま、話を聞く事に決めたよう。

セディの後ろに回り、彼の肩に手を置いた。

おばさんが杖を振り、紅茶を用意してくれる。

ママは隣に座り、私の手を握って話し始めた。



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