Loving You 2
□偶然or必然
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クリスマス休暇の前日、ホグズミード休暇が与えられた。
今回、私はセディとは別行動を取ることに決めた。
夕食後、セディに伝える。
「明日のホグズミード、私、アンジェリーナ達と回ろうと思うんだ………女の子3人だけで」
「何故?僕も一緒じゃダメ?」
「セディへのクリスマスプレゼントを選ぼうと思って。クリスマスまで内緒にしときたいんだ」
「僕は君と過ごす方が嬉しいんだけど……まぁ、そういう事なら我慢するよ」
「ありがと。すっごく厳選するから」
「期待してるよ」
セディはそう言って、頬にキスしてくれた。
明日の夕食を一緒に取ることを約束して別れる。
そのままアンジェリーナ達と寮に戻り、どの店に行くか計画を練った。
翌日、ホグズミードへ行く為の用意をしてフィルチのチェックを待つ列に並ぶ。
「あら?リーだけなの?フレッドとジョージは?」
遅れて来たリーを見てアリシアが眉根を顰める。
アリシアもリーへのプレゼントを買うので、彼と一緒に行動したくない。
だからリーはフレッド達と行動する。
勿論、村までは一緒に行く事にしてるけど、着いた瞬間に分かれる、と決めてあった。
「そんな顔しなくてもいいだろ?遅れるんだってさ。ちょっとヤボ用だって言ってたな」
リーが苦笑しながらアリシアに話す。
「ヤボ用?」
「あぁ。昨日遅くまで二人で何か話しあってた。今朝聞いたら、ハリーへのプレゼントの相談だと。どの発明品をあげるか決めてたんだろ」
リーがアンジェリーナの問いに肩を竦めながら返す。
「決まったそれを、今日渡しに行ったんじゃないか?クリスマスまで待てなかったんだろうな」
私はふ〜ん、と言いながら心の中でため息を吐いた。
二人はハリーに”忍びの地図”を渡しに行ったんだ。
確か……貰ってすぐにハリーは地図を使ったはず。
私達はフレッドとジョージを待つ為に、一旦列から離れた。
置いて行く訳に行かない。
しばらく待つ事もなく、二人が走ってくる。
「悪い!待たせたな」
「ごめん。さぁ、行こうか?」
二人はさくっと列に並んだ。
私達は呆れながらその後に並び、フィルチのチェックを受けて門を出た。
「それで……プレゼントは喜んでくれた?」
私はジョージに問い掛けた。
「ん?……リーから聞いたんだね?うん。そう思うよ」
「俺達の持ってる物の中で最高の物をプレゼントしたんだ。喜ばない訳がない」
フレッドが自信たっぷりに言う。
「因みにどんなものなの?」
アンジェリーナが興味深々に聞いた。
「あ〜〜こればっかりはアンジェリーナにも言えない。俺達の秘密だ」
「男の子同士の秘密だなんて、いやらしいモノに決まってるよ。服が透けて見える眼鏡、とかじゃない?」
私の言葉に、みんなが噴いた。
フレッドとジョージは憮然とした顔になる。
が、すぐに口元を歪めた。
「そんなんじゃない。そんなのあったら誰にも渡さず、一人で楽しむ」
フレッドはそう言って、眼鏡をかけるふりをした後、私を上から下までじっくりと見た。
「………こんな感じで」
全然、全く、これっぽっちも見えた訳ないのに、見られた気分。
「気持ち悪いよ、フレッド。何だか……ホントに見透かされてる感じがする」
私はアンジェリーナの陰に隠れた。
「スノウの見ても面白くないのは分かってる。どうせならアンジェリーナの方が良い」
フレッドはめげずにアンジェリーナをじっと見た。
ら、いきなり、アンジェリーナがフレッドの頬を叩く。
ぱんっと乾いた音が響いた。
「フレッド!そんな目で人の事を見てると、痛い目を見るわよ!!」
フレッドは叩かれた頬を摩りながら泣きそうな目でアンジェリーナを見た。
「もう十分痛い目に遭ってる。いきなり叩くなんて、酷すぎるぜ」
「あら、加減はしたわ。本当なら顔の形が変わる位まで叩く所よ」
アンジェリーナの口調は、本当にやる、と言っていた。
私はアンジェリーナを怒らせる事のないようにしよう、と密かに決めた。
ホグズミードに入って私達は二手に分かれた。
女の子同士でまずはクディッチ専門店へ。
ここで私とアリシアは彼氏へのプレゼントを選び、アンジェリーナは自分用に買い物をした。
その後”ハニーデュークス”へ。
「フレッドとジョージにはお菓子の詰め合わせにしようと思ってるんだ」
「あら、悪戯グッズの方が喜ぶと思うけど?」
「じゃ、アンジェリーナはそうしなよ。私はこの限定品にする」
クリスマス仕様の箱に、きれいなチョコレートやグミ、キャンディーなんかがたくさん詰まってる。
「限定品ねぇ………そんなおしゃれな物あげても面白くないじゃない」
「ねぇ、二人とも。これなんかどうかしら?」
私とアンジェリーナはアリシアが差し出した物を見た。
「………何これ?」
「”ゴキブリ・ゴソゴソ豆板”ですって。食べたら口の中で這いまわるみたいよ」
「「ウ〜〜ゥ!!」」
私達は口の中をゴキブリが這う所を想像して顔を顰めた。
「流石にムリ。あっちの異常な味の棚と特殊効果の棚にあるヤツにしよう」
私は”爆発ボンボン”や”ブルブル・マウス””黒胡椒キャンディー”なんかをカゴに入れてレジに持って行った。
会計を済ませている間、店の中を見回す。
と、いた。
ナメクジゼリーの樽のトコにハーマイオニーとロン。
そして、二人に隠れる様にハリーも。
私は会計が済んだ紙袋を持って、店の入り口近くでアンジェリーナ達を待つ振りをして彼らをチラチラ見ていた。
ハーマイオニーがレジに行き、お金を払い始めた。
店を出るんだ。
私は急いでアンジェリーナ達の所に行った。
「ねぇ、そろそろ”三本の箒”行かない?席取らないと、混んじゃうよ」
二人は頷いて、お菓子の代金を払い、店を出た。
私達は吹雪始めた所為で、視界が悪い中を歩いた。
ほんの数分しか歩いていないのに、”三本の箒”についた時には凍えそうだった。
「凍え死ぬ前について良かったよ」
「あなたが凍えたら、ディゴリーを呼んできてあげるわ、スノウ。一遍に温かくなるでしょう?」
「熱いキスでね」
私の言葉に、二人は軽口を返す。
「もう!二人ともからかい過ぎだよ」
私は店の奥へと移動した。
「スノウ、席取っといて!」
アンジェリーナとアリシアの声に手を挙げた。
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