居候と僕
□夢と居候
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僕が医務室に運ばれて、4日目の放課後、顔を出したアブラクサスが、すごい情報を持って来てくれた。
ましろが今夜、こっそりお見舞いにきてくれるらしい。
気付いてから三日間、ずっとましろの事が気になっていた。
アブラクサスに訊いても、初日の夜見舞いにきた後、ましろを見ていないと言っていた。
オリオンは全く見ていないと。
部屋には鍵が掛かっていて、ドアの前にましろの猫がいるので、中に入れないらしい。
今までも、食事その他は全て屋敷しもべがやっていたから、そのことを心配しているわけじゃない。
ただ、会って、顔を見て、そして、あの不思議な夢の話を話したい。
その夜、ワクワクして寝れず、体を起こして早く来るように祈る。
夜中を過ぎた頃、ましろの猫がやってきた。
「セス!ましろは?一緒じゃないの?」
「ヴォル、静かにして!秘密の時間が台無しよ」
聞きなれた小さな声が聞こえた。
やった!ついに来た!
「ましろっ!!会いたかった!」
「だから、小さな声で!私が見つかってもいいの?」
口調と違ってカーテンから覗いた顔は笑っていて、なんだか懐かしかった。
「こんばんは、ヴォル。元気になってよかったわ。痛いところある?」
「大丈夫さ。ましろの顔を見れたから、すっごく元気になった」
ましろは僕のベッドに座って、僕の顔を覗き込んだ。
「うん、大丈夫そう。でも、ちょっとだけ風を送ってもいいかな?」
僕は大きく頷いて、目を閉じた。
ましろに手を握られ、温かい風が僕を包む。
「そうねぇ、私の見立てでは後2日ってとこかな?」
「もう大丈夫なんだけど。ましろがそう言うなら、もう少しここにいる」
えらいぞ〜と僕の頭を撫でる。
なんだか小さな子ども扱いだ。
「ましろ、僕不思議な夢を見たんだ。君が出てくる」
ましろの手が止まった。
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