居候と僕

□日記と居候
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ヴォルに内緒と言っても、ほとんど一緒にいるので、準備や後始末はオブシーにお願いするしかない。



「オブシー、私、明後日ここを離れるわ。それでね、お願いがあるの」


「ましろ様!どちらに行かれるのです?私も一緒に行ってはいけませんか?」


「そう言ってくれるのは嬉しいけど、ダメなの。あなたにはきちんと話しておくわ」



そして、お風呂に行っている間に、未来から来た事を話した。



「では、50年後にまたお会いできるのですね?」


「そうよ。私はホグワーツに現れ、あなたに会う。ただ、最初は髪や目の色が違ったり、あなたの事が分らないと思う。でも、待ってて。必ず会いに行くから」


「かしこまりました。その時は私もおばあちゃんになっている事でしょう」


「絶対キュートなおばあちゃんだわ」



笑い合って、このことは魔法使いには絶対に言わない事を誓ってもらった。







帰る用意で一番面倒なのは、大量の服。


最初にアブに買って貰ってから、いつの間にか増えていって(アブが買い足してくれたから)袖を通してないものも多い。


オブシーに相談すると、小さなバッグを用意してくれた。



「ましろ様、この中に拡張魔法を掛ければいくらでも入ります。身の回りのものを全てこれに詰めて、バッグ自体を小さくすれば持ち運びも楽ですよ」



なるほどね。


お風呂を出たあと、早速魔法を掛けて小さくしたバッグをポケットに入れる。



「明日、ヴォルが授業から返ってくる前に荷造りして、放課後3人が部屋にいる時に忘却術掛けて出て行くわ。オブシー、荷造りの時来てね」


「かしこまりました。最後まできっちり努めさせていただきます」



部屋に戻ると、ヴォルのお帰りと言う声。


ただいま、と言う私はさりげなく笑えているかな?


コロニスのため息が聞こえた。







今日、変身術の授業があって、本当に良かった。


ヴォルが絶対に休まない授業だ。


おじいちゃんに目をつけられることを極端に嫌がっているみたい。


手のひらサイズのバッグを一旦大きくして、オブシーに手伝ってもらって詰めていく。



「すごい!服なんか箱15個分くらいあったのに。靴も、細々した物も、みんな入ってく!」


「ましろ様、出す時も私をお呼び下さい。きちんと片付けて差し上げます」



はい、よろしくお願いします。


二人で笑いながら用意した後、最終確認をする。


私が三人に忘却術を掛けている間に、布団やいつの間にか常設されるようになったテーブルなど、私がいた痕跡を完全に消すのはオブシーの役目。



「おまかせください」



オブシーは目に涙を浮かべながらにっこり笑った。



「オブシー、最後にもう一つ、お願いがあるの」


「なんなんりとお申し付けください」



私は右手につけていたブレスレッドを二つとも外す。



「この黒いのは、オブシディアン、あなたに。こっちの紅いのはジャスパーに。次に私が会いに行く時まで預かってて欲しいの。いい?預けるのよ。必ず私に返してね」


「………もちろんです。父も喜ぶ事でしょう。ましろ様のお願い、賜りました」


「ありがとう!あなた達には感謝してるわ」


「もったいない事です。さぁ、もうすぐお時間です。……またお会いできる日を楽しみに待っております」


「うん、この先どんなにつらい事があっても、必ず生きて!私を待っていてね」



ヴォル達が変に思わないように、泣かないようがんばった。








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