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□第2章一話前編 「武田の抵抗」
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所変わって守矢神社


零次「八坂刀売命様、お目に掛かれて光栄に御座います。」



八坂刀売命(以後、神奈子と書きます)「主が零次か。」


零次「はっ、秋風零次と申します。」


神奈子「そう、畏まる必要は無い。ところで、武田の情勢はどうなっておる?滅亡寸前ではないか。」


零次「返す言葉もごさいませぬ・・・」


神奈子「・・・いや、主は悪くない。むしろ、主の活躍で武田は存続出来ておる。何処に攻められておる?」


零次「主勢力は北条、他に今川や斎藤で御座います。」


神奈子「上杉の動きは?」



零次「表向きには絶交ですが、影で休戦協定を結んでおります。」



神奈子「武田包囲網ってやつかしら?」



零次「はっ、八坂様の仰る通りで御座います。」


神奈子「高遠城の現状は?」


零次「城の規模は中、防御度は普通、兵士は1500で、兵糧も二月持つかどうかです。」

ちなみに、今は5月の中旬。収穫期は7月。


零次「故に、収穫期の直前、6月の末に高遠城の攻撃を開始すると推測出来ます。」


神奈子「・・・貴方の考えを言いなさい。」



零次「現状的に、この一年の間に織田が勢力を広げ初めました。」


神奈子「これによって、武田から織田に目が向いた分けね。」


零次「仰る通りで御座います。故にまず、確実に目を向けるために織田と同盟を結ぶべきかと。」


神奈子「織田が滅亡寸前の武田と組むとはとても思えないけど?」



零次「いえ、武田が滅びれば、今川と斎藤は同盟を保ったままで織田に目標を定めるはず、故に、利害は十分に一致します。」



神奈子「確かに。しかし、織田は内輪揉めがあり、大大名である今川や斎藤ならば、容易く落とすと思うが?」



零次「斎藤も今、内輪揉めが起こっております、また、斎藤は今、織田と同盟関係に御座いまして、織田を落とすは今川のみ。今川のみならば、織田も十分に対応出来るかと。」



神奈子「・・・・・成る程のう・・・・織田と組めたとして、どうやって高遠城を守る気なのか?」


零次「恐らく、北条は今までの連勝により、若干兵員を下げて来ると思われます。北条の勢力が5000以下かつ、北条の重鎮が出れば勝機は見い出せます。」



神奈子「成る程・・・いや、かなり綱渡りな作戦では無いか?」



零次「1割以下です。」



神奈子「・・・正気なの?」


零次「無論。」




神奈子「・・・・分かった。信玄公には強く推しておくわ。」



零次「ありがとうございます。失礼します。」










神奈子「・・・・・・ふぅ。疲れるわ・・・・」


???「お疲れ。」



神奈子「諏訪子、お茶。」


諏訪子「はいはい。」




神奈子「やっぱり疲れるねぇ。あの人。」


諏訪子「信玄公?」


神奈子「いやいや、あの少年に。」




零次の策を見ながら

諏訪子「へえー、面白い考えじゃん。」
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