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□第2章一話前編 「武田の抵抗」
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小田原の町で、馬鹿やっている四人はさておき・・・







清洲城







零次「信長公。」



信長「武田の遣いか。何のようだ?」


零次「・・・・・武田と同盟を結びませぬか?」


信長「・・・・零次殿、いくら貴公の願いとはいえ、織田に利益をもたらさない同盟は結べんな。」



零次「・・・確かに。現時点では、利益は無いでしょう。しかし、武田が落ちれば北条、今川が上洛における拠点にあるこの織田をほおっておくでしょうか。」



信長「・・・・・今川と同盟を結ぶという考えもあるが?」


零次「成る程。信長公に横道なしと思っていましたが。」



信長「・・・・」



零次「いえいえ、同盟と言っても停戦協定程度に考えて頂いても構いませんよ。今川攻めも支援致しましょう。」

信長「支援する物資も無いのにか?」



零次「了承頂けるなら5000貫程支援致しましょう。」



???「悪く無いとは思うけど。」


信長「ふむ、永琳も同じ意見か。」



永琳「但し、曳馬以西の今川領はもし武田が取っても織田に明け渡しを行う。それが条件です。」



零次「曳馬は頂けませんかね?今川攻めは北条の援助を考えると明らかに武田が苦しくなるので。」



永琳「・・・・いいんじゃない?」



信長「まあ永琳がそう言うなら、良かろう。零次殿、信玄公に同意と伝えておいてくれ。」



零次「感謝致します。では信長公、八意殿。失礼します。」












信長「零次公自ら動くとはな。」


永琳「零次さんって侍大将ですよね。信玄公に余程信頼されているでしょうねぇ。」



信長「・・・・零次公を侮るな。おそらくこの同盟は零次公の計略。」



永琳「私なら、今川を落とした後斎藤を攻めますね。」



信長「何故だ?北条はどうする気だ。上杉も黙っていまい。」



永琳「恐らく、隠密的に上杉と武田は手を組んでいます。事実、三国同盟崩壊後に上杉は武田を攻めてないし。」



信長「・・・言われて見ればそうだな。」


永琳「恐らく、上杉は宿敵である武田の落ちていく姿は見たく無かったと私は考えますけど?」



永琳「・・・・・確かに、あの少年は脅威ね。」



信長「早めに対策をとるか?」


永琳「・・・まだ早いです。」




信長「いつ仕掛ける。」


永琳「今川を分け取りし、斎藤を取り、それから上杉との決戦に望むはず。」



信長「斎藤に荷担する。と言うことか?」




永琳「恐らく、彼もその状況での織田の同盟破棄を予想しているでしょう。しかし、それは早すぎます。」



信長「ならばいつ武田を攻める?」



永琳「武田が斎藤攻めを始めたら、武田と共に斎藤を攻めるのです。」



信長「道三殿を裏切れと申すか、永琳。」



永琳「道三殿がご存命ならば西へ勢力を伸ばして下さい。しかし、道三殿のさきは短く、云わば死に体です。恐らく、今川攻めの途中で、死去されると思われます。斎藤の息子は反織田の筆頭です。攻めなければ攻められます。」




信長「うむ。次はどうする。」



永琳「武田と上杉の決戦、恐らく手出し無用の文が来ると思われます。」



信長「確かに、信玄公ならいいかねん。」


永琳「故に、武田、上杉の疲弊している所を攻め、一気に甲信を制圧するという作戦を考えてあります。」



信長「しかし、手負いとはいえ越後の竜と甲斐の虎を落とせるものか?」



永琳「浅井、朝倉と同盟を組みましょう。」


信長「・・・・政略結婚か。」


永琳「はい。お市様を浅井の長政様に嫁がせて下さい。朝倉は浅井の古くからの同盟関係です。恐らく動いてくれるでしょう。」




























清洲の町





零次「とりあえず、第一段階突破か・・・しかし、八意殿が曲者だな。恐らく、妙手を打ってくるはず。」





民衆「泥棒だー!!」


遠くに二つの人影が猛スピードで近づいてくる。


零次「・・・・・あの娘、良い身のこなししてんな。」


???「邪魔だせ!」


泥棒の娘が近づいてくる



零次「泥棒娘、そこまでだ。」



???「何の事だぜ?」



商人「おお、お侍さん。有り難う御座います。」



零次「礼には及ばぬ。時にこの娘は何を盗んだのだ?」



商人「食料を盗まれました。」




零次「・・・・何文だ?」



商人「100文です。」


零次「1貫渡すから見逃してやってくれ。」




商人「はぁ。」






???「有り難うだぜ。」



零次「いやいや。」
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