*聖ルドルフ*

□早朝ラブリズム
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『ふわぁ……。』



今日も朝早くから起きてテニス部の朝練に行く準備。べつにマネでも選手でもないんだけどね!付き添いって言うかなんというか……

ゆったり準備してたらびっくり!もうこんな時間!!家を飛び出て急いで学校に向かう。途中車に引かれそうになったり、自転車にぶつかりそうになったり!災難続きで


急がなきゃ怒られる!


1分でも遅れたら観月がぷりぷり怒る。きっと一日中小言を聞かされるはめになるんだから!それだけは絶対にいや!!

観月のぐちぐち攻撃はずばっと言われるよりちくちくと私の心を痛め付けるし、体力使うし、何よりめちゃくちゃ生気を吸い取られる。こっちはおばあちゃんにでも鳴った気分に



「にゃあ。」


『ぐっ。』



走っていた足をわずかに緩めて聞こえた泣き声の方に顔を向けた。すると、そこにいたのは段ボールに入っている子猫が2匹……うるうるとした目で私を見ている。めちゃくちゃ見ている。

思わず足を止め、その場にしゃがみ込んだ。そんな目で私を見ないでくれと言いたいが言っても子猫は何もわからないだろうし。


とりあえずそっと撫でてやると目を細め気持ち良さそう。かなり可愛い。

今はこれしかないんだ……

ぽんと朝ご飯になる予定だったミルクパンを細かくちぎって置くとぱくぱくとおいしそうに食べる子猫ちゃん。私も嬉しくなった。そしてまた時計の針を見て慌てて駆け出す



「クゥン。」


『あー!もうっ!!』



次は子犬?!なんで?!しかもまた段ボール!!なんかのいじめか?!神様からの試練ですか!!

これまたうるうるとした目で私を見上げてくる子犬と言う名の犬。だんだん言ってることが変になってる気がするが気にしなーい


さっき子猫に分け与えたミルクパンの半分をまた細かくちぎって段ボールの中にそっと入れて人撫でする。



「わんっ!」


『よしよし。』



元気になれよともう一回わしゃわしゃと撫でるとカバンを持ってまたダッシュで学校に向かった。走って走って走る。

あー!もうっ!!絶対観月怒ってる!!

今日一日小言祭りだと思うとブルーな気分になってくる。私が悪いんじゃないと言いたいけどたぶん言っても無駄だよね。子猫ちゃんや子犬ちゃんのせいになんかできないし。


同じクラスで隣の席って言うなんとも素敵なポジション。だから嫌でも小言は聞くはめになるし!前は隣でめちゃくちゃ喜んだのに……今はちょっぴり後悔



頑張って走って辿り着いた学校!校門が見えてきたと思ったら、人影一つ。やばっと顔を歪めながらそろーっと近寄った



「遅いですよ。」


『うっ。す、すみません。』


「20分46秒の遅刻です。」


『ちょ、細かっ。』


「何か言いましたか。」


『いえ、何でもないです。』



絶対今日は小言決定!グッバイ今日一日の幸せ学校ライフ!!



「ボクがどれだけ心配したと思ってるんですか。」


『は、はい。』


「心配性だって知っているでしょう?」


『存じ上げております……。』


「じゃあ、遅れてきたりなんかしたらどうなるかわかるでしょう?」


『へい……。』


「返事はへいではなくはいでしょう!」


『はいっ!!』



なんだよぉ、これぇ。なんで朝っぱらから校門前で正座してぐちぐち言われなきゃいけないんだよぅ

理不尽だ!

でも、何も言えないのは観月が本当に心配性で、すっごく心配してくれたのがわかるから。だってさだってさ、赤い鼻と頬が教えてくれてるよ?ずっと待っててくれたんだよね!!


寒いから早く行きますよって言って歩きだす観月を急いで追い掛けてすっかり冷えきった手に少し汗ばんだ私の手を絡めてみた。



「汗っかきは嫌ですよ。」


『走ってたからね。』


「嫁の貰い手がいなくなります。」


『観月が貰ってくれるんでしょ?』


「……貰ってやらないこともありませんが。」



しょうがないから今日の小言は心配性ゆえの愛のムチだと思うことにする。










早朝ラブリズム
―なんだかんだ言っても―



(いや、だから!)
(そんな立て続けに猫や犬が捨ててあるわけありません。)
(あったんだってば!)
(ちょっとそこに座りなさい!)
(………また始まったな。)
(おい、いちゃつくんじゃないだーね!)


相思相愛なの。












どした、これ。ていうか観月がツンデレ……!いや、なんかもう違う生命物体だ。誰?!みたいな

すんません!






 

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