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「まーたどこかで喧嘩して来ちゃったのね。まったく…‥」


 そっと入って来たつもりなのに、どうやら彼女にはお見通しだったらしい。呆れた表情で座り込む俺を見下ろしてくる。

 俺はその視線に堪えられず、ふいっと横を向いた。


「ごまかそうとしても無駄よ。そんな目立つ怪我しちゃって…‥ほら、手当てするから」


 手招きされるまま彼女に身を寄せると、彼女は満足げに笑って、いそいそと俺の怪我を治療する。

 喧嘩なんて日常茶飯事。それで怪我をするのなんて、既に慣れてる。

 だけど彼女は俺が怪我をして帰ってくるたびに、小言を零しながら手当てをする。


 俺はそれが嫌いじゃない。ここが俺の場所なのだと実感するから。


 彼女の優しい手が、俺の額に触れる。まるで無事を確かめるかのように、幼子にするように優しく撫でる。彼女の思うままにさせて身を委ねていれば、やがて満足したのかフワリと笑った。


「帰って来てくれて、ありがとう」


 彼女の言葉に応えるように、俺は一声、みゃあ、と鳴いた。




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彼女がいるから、帰り着く場所になりえるのだ。




『xxx.IV』様提出作品

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