Novel
□3点差の悲劇
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「ふっざけんじゃねぇえええぇぇえええーーーーーーーー!!」
何だこれ新手の嫌がらせかいやまさかそんな訳あるかそんな訳ない。
「そうだある訳がない!!」
「うるっさいのよアンタは!目の前の現状を認めなさい!てか認めろ!!」
いやだって何で俺が…‥
「何だって俺が学園の魔窟、開くけど開かずの無法地帯またの名を社会科準備室の掃除係なんて任命されんだよ!」
「アンタが毎回毎回毎回毎回テストの度にご丁寧に日本史だけ赤点とるからでしょう!?」
「だって今回はいつもより点数良かったんだぜ!」
「たとえあと3点で赤点免れてたような点数でも赤点には変わりないのよこのお馬鹿!それより何でアンタの幼なじみってだけで私まで社会科準備室の掃除なのよ!信じらんないっ」
「信じらんないとか言われてもそれ俺のせいじゃねぇっつーか日本史の先生が体よく俺らに押し付けただけだし俺に責任はない!」
「アンタ人のこと巻き込んでおいてよくそんな口利けるわね!アンタが赤点とり続ける限り私もとばっちりで準備室掃除なのよ!少しは反省しなさいよ!」
息も絶え絶えの押し問答。これが学校の廊下で起きてるのだから他人にとっちゃ良い迷惑だ。だけど生憎こっちにはそんな周りを気遣う余裕はねぇ。
「良い?アンタ次のテストまで日本史の特訓よ!今時この偏差値の高校で、桶狭間の戦いと長篠の戦いと関ヶ原の戦いの区別もつかないんじゃ話にならないわよ!」
「分かんねぇよそんなもん!!全部同じじゃねぇの!?」
「違うわよこの脳内空洞野郎!分かるようにすんのよその中に藁屑しか入ってないようなその頭で!じゃないと卒業までずっと準備室掃除なのよ?あの片付けた端から汚く崩れ去ってゆく準備室掃除なのよ?良いの?それで。私は絶対嫌よ!嫌だからアンタには何がなんでも赤点を脱出してもらうわ!」
立て板に水のごとくまくし立てられ廊下の壁まで詰め寄られる。プリーズヘルプミー誰か!この憐れな子羊状態の俺を助けてくれ。
とかそんなことを心の中で虚しく叫んだとこで、誰か助けてくれる訳もない。…‥誰だってとばっちりはくらいたくない。
「あと、もう少し。あと少しアンタの点数が高ければこんなことにはならなかったのよ。いーい?今日からずっと準備室掃除と日本史の特訓よ!」
目を怒らせ容赦無く宣言したコイツに俺が敵う術は無い。皆無だ。何だこれ。この前あと、少し。あと少しで赤点免れてたのに。その前のテストのダブルスコアなのに何でこうなる。
襟首をむんずと掴まれ準備室に連行されながら、俺はあと少しだったのにとひたすら繰り返していた。
3点差の悲劇
いざ向かわん、学園の魔窟へ
『xxx.IV』様提出作品