main2 ガイ班日記
□ss 〜大雨の中〜
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大雨の中、ガイ・テンテン・リーは任務を終えた。
ネジは不在だったが、今日別の任務から戻ってくる予定である。
ガ「よーし!!!俺が報告書を提出しておく!!
お前らは帰っていいぞー」
リ「ありがとうございますガイ先生!!
テンテン、待合室に行って着替えましょう!!」
テ「…あ、ごめんリー。いのちゃんの所へ寄っていくから、先に帰っててちょうだい」
リ「そうですか!!ではガイ先生、テンテン、お疲れ様でした!!」
3人はそれぞれ別方向に分かれた。
リーの足は待合室がある塔へ向かっていたが、どうせ一人なら、と思い引き返した。
着替える前にもうひと修行しようかと思いついたからである。
屋根のある演習場へ向かおうかと一瞬考えたが、もう既にずぶ濡れだったリーは、もうどうにでもなれと思い、大雨の中、ひたすらランニングをしていた。
普段は暖かくて賑やかな木の葉の住宅街も、この雨のせいか、道行く人はほとんどいない。
雨の音と、自分の息遣いしかリーの耳には入らなかった。
しばらく走りこみ、さすがに疲れたリーは、建物のちょっとした屋根の下に入り、壁にもたれかかって呼吸を整えていた。
すると、曲がり角の向こう側から、耳に慣れ親しんだ話し声が聞こえてきた。
テ「おかえりなさい。ずっと待っていたんだから」
ネ「ああ」
姿は見えないものの、それは紛れもなくネジとテンテンの声だった。
テンテンはいのさんではなくネジを待っていたのですか。
そう言ってくだされば、僕も一緒に行ったのに。
そう思い、自分も合流しようとリーは建物の陰から現れた
リ「おかえりなさいです!!ネ―――」
そして見てしまった。
2人が一つの傘に入り、キスしている所を。
2人は勢いよく現れたリーに気付き、すぐ唇を離した。
ネジは持っていた傘を取り落とした。
テ「リー……!!!」
3人は石のように固まってしまい、雨音だけがただ流れたまま数秒が過ぎた。
沈黙を破ったのはリーだった。
リ「お二人は、付き合っていたのですね…」
そう言い放つリーに、いつもの明るさや暖かさはなかった。
テ「そ…そうだけど、でもリー!!話を聞いて!!」
リ「どうして僕には黙っていたのですか!!」
ネ「リ―、すまない。しかしこれは……」
リ「許さないです!!」
リーは走り去った。
濡れていくのも構わずに呆然と立ち尽くす2人を置いて。
走って、走って、無意識のうちに飛び込んだ塔は、待合室だった。
着替えをしている何人かの同僚たちの視線が、ずぶ濡れで泣きそうになっているリーに集まったが、そんなことを気にする余裕は、リーの心にはなかった。
リーは何をする気でもなくロッカーを開けた。
すると、一番上には日記が置いてあった。
もしかしたら、自分が前回秘密を離そうと提案した特に、2人がちゃんと交際について話してくれているかもしれない。
そう思って、リーはその場で日記を開いた。
しかし書いてあったのは、シノとエビスが似てるだの、何も言いたくないだの…。
今のリーに言わせてみると、誤魔化しとしか思えないような内容だった。
ああそうか…と、リーは思った。
トイレの件についても、これで納得した。
リーの登場ですっかり静まり返ってしまった待合室内で、リーは思わず叫んでしまった。
リ「2人とも…うそつきですっ…!!」
――――次の日。
気まずくなってしまった者たちにとってはありがたいことに、3人はそれぞれ別の忍務で、互いに顔を合わせることなく1日が終わった。
テンテンが忍務を終えて待合室へ行くと、知り合いの中忍に話しかけられた。
「テンテンさ、リーの奴となんかあった??」
テンテンは戸惑いを隠せない。
テ「えっ…どうして?」
「昨日アイツ、待合室内のみんなが見てる前で、2人がうそつきだの何だの叫んでたぜ。
ついに頭イカれちまったのかと思ったぜ
…二人って言ったら、お前と日向のことだろ。マンセル組んでるし」
彼と別れた後も、テンテンは不安でいっぱいだった。
そうよね。怒られても当然よね。
それでもまだ、もしかしたらリーなら許してくれるんじゃないかって、淡い期待を持っていた。
ロッカーの中に入ってた日記を見るまでは。