story

□風邪を引いた
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朝、8時頃。
いつもなら直から、
おはようメールが届く時間だ。
はっきりとした、彼女、
という存在ではないが、
毎日毎日続いて送られて来ていた。
しかし今日は9時に
なっても来ない。
ゲームが終わっても、
連絡をよこす彼女に、
返事を返したり
返さなかったりして
いたから、愛想がつきて
しまったのか。
いや、もしかすると、
ゲーム以外に何かに
巻き込まれた?
父親の病状が変わった?
気になった秋山は、
電話してみたが、
彼女は出なかった。
仕方なく、直接彼女の
部屋を訪ねる事にした。



ノックしても応答がない。
家にいないのだろうか.....
そう思ってドアノブに
手をかけたら、意外にも
すんなりノブが回った。
「おいおい.....。」
不用心だと呆れてしまった。
様子を見るため、中へ入る。
コホ、コホ.....
奥から咳が聞こえた。
「お邪魔するぜ。
おい、大丈夫か?」
秋山の声に気づいた直が、
ベッドで静かに背中を起こし、
彼の方へ体を向けた。
しかし、パジャマのまま
なので、布団から出る
ことが出来ない。
「秋山さん.....すみません、
電話に出れなくて。
わざわざ、来て、
くれたんですね.....」
苦しそうに途切れながら、
彼女は答えた。
そしてその後にまだ
言葉を続けた。
「けど、帰って、下さい。」

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