story

□俺を傷つけた足に、ちょっとした仕返し。
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いつもの様に家まで
送ってる道の途中。
カコッ、と軽い音が
夜道に心地よく響いて、
彼女の靴が脱げた。
続いてバタ、と体が
地面に突っ伏す。
「大丈夫か?」
「はい.....」
すみません、と恥ずかしそうに
苦笑いした直は、
俺に手を引かれて立ち上がった。
靴を履き直すのを眺め、
一応ケガしてないか確かめたくて、
端の花壇のフチに座る
様に言った。
―彼女の肌は、健康的
な黄色だ。けど、暗闇
の中では明るく白く
光って見えた。
綺麗だな、なんて思いながら、
靴を脱がせて足の裏を手に乗せる。
少し汗ばんだそこは
日頃からケアされてるのか、
少しもカサツキがなく、
気持ち良く手に馴染んだ。
感触を楽しんだ後、
丁寧にケガを探しだす。
ケガはなかったけど、
横に置いた靴を見て、
いつも洒落た靴ばかり
履いている事に気づいた。
「色んな靴持ってる
よな。靴好きなの?」
「あー.....ハイ」
軽い気持ちで聞いたのに、
微妙な答え。
「....何その返事。」
「....ごめんなさいっ」
彼女は俺の言葉で隠し事を
するのがやっぱり
難しくなったらしく、
この靴は前の恋人に
もらったミュールだと告げてきた。


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