story

□幸せな夫婦の始まりの朝
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私が朝の身仕度を終えて
居間に戻ると、秋山さん
がチラリと私に目を
やりました。
すぐにその目はテレビに
戻されました。
CM中なのに、真剣に
その画面を見ています。
可愛いマスコットが
お菓子のPRをするCM。
私は前からこのCM、好き
だけど、秋山さんが
好きなハズ、ないのに。
私、前にこのCM好きだ
って、話したのかしら?
私が思い出せないでいる
と、秋山さんはそんな私
の考えなんて、もちろん
知らず、口を開きました。



「結婚して」







テレビに視線を向けた
まま、俺は言った。
返事が来ない。
そりゃぁ、そうか。
驚いてるよな。
俺だってこんな風に
言おうなんて、思って
なかったし。
でももちろん前から
決めてはいた。
さっき、ワイドショーで
学生の就活の様子を取り
上げてるのを見たから、
俺の中できっかけに
なって、言ったんだけど。
こいつにはまだ先の話
だけど、こいつはきっと
将来就職して、もっと
色んなものを知る。
仕事はもちろん、金も、
人も、その他も。
こいつがそんなのを
知って、その中で努力
するのは、こいつに
とって良い事だと思う。

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