story
□ほったらかしにされた焼き魚
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恋人ではない二人が、
少しずつ歩み寄って、
今、何度目かの夕食中。
直は焼き魚をほぐす箸を
止めて、ため息をついた。
「はぁ」
想い人のそれが気に
ならない筈はなくて、
秋山が理由を聞く。
「どうした、ため息
なんかついて」
「あ......すみません。
せっかく秋山さんが
一緒にご飯食べてくれて
るのに、失礼ですよね」
「そんな事ないけど、
何かあったのか気に
なるから。どうした?」
秋山が優しく聞くと、
直は暗い顔色を、一気に
朱色に変えた。
「えっと、変な話に
なっちゃうんですけど、」
「今日、大学で男友達が
......男の人が見る
ビデオの貸し借りを
してるのが見えて
しまって」
秋山に嫌な予感がよぎる。