story

□連休マジック 前編
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世の中は連休だ、って
にぎわってるけど、私に
とっては、次のゲーム
までの一休み。
今度は一体、いつ、
どこで、どんなゲームが
待っているんだろう。
いつ、本当に解放される
んだろう。この奇妙な
恐怖に、私はこうして、
怯えながら連休を
過ごしそうな感じだ。
ぼーっと初日の昼を
ベッドの上でパジャマの
まま過ごしていたら、
ケータイが鳴った。
電話だ。....秋山さん
から。珍しい。
私は戸惑いながらも、
その電話を取った。
「....はい。」
「俺だ。今、何してる?」
「....特に何も。」
秋山さん、メールじゃ
なくて電話だなんて、
一体どうしたのかしら。
「今、家?今から行く
から。」
「えっ、家ですけど、
いきなりどうして」
「後でな。」
そして電話は切れた。
本当に、どうしたの
かしら?よくわからない
まま、急いで人前に
出られる様に支度を
始める。こうして、
魔法にかかった様な
連休の一日目が始まった。





玄関のノックが聞こえて、
すぐに開けると、予想
通りそこには秋山さんがいた。
「天気が良いから、
ドライブ付き合ってよ。」
「えっ」
ドアの向こうを見ると、
車が停まってる。
そういえば昔、先生の
お家の張り込みで、
レンタカーを借りて
もらった事があった。
「借りたんですね?」
「そ。だから、早く」
手を引かれて、連れ
て行かれる。何だか、
恥ずかしい。
秋山さんは運転席では
なく、助手席で立ち
止まると、ドアを開けて
くれた。
「どうぞ」
「....ありがとう
ございます」
今度は照れる。でも、
同時に喜びが込み上げて
きた。
「友達の彼氏さんが
車を持ってるんです
けど、時々、大学へ
送り迎えしてるの見て、
友達がうらやましかった
んです。だから今、
何だか嬉しいです。
あっ、私達は関係も
状況も違うって、
わかってますよ?なのに、
なんか、すみません。」
舞い上がってしまった
のを、慌てて反省する。
うつむいた顔を恐る恐る
起こして、秋山さんの
反応を見ると、なぜか
少し悲しそうな顔を
してた。


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