story

□二人の夜
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秋山の部屋に、トーク
番組のにぎやかな声が
響く。更に横の直が、
「えー」だの「あぁ〜」
だの、内容に反応する
から、秋山の部屋とは
思えないくらい、
にぎやかになっていた。しかし、時刻はもう
23:30。彼女がいつも、
帰りたがる時間だ。
「おい、帰る時間じゃ
ないのか」
「あっホントだ!番組
途中だけど、帰んなきゃ。」
ついでに、食べていた
ピザまで途中だ。とても
食べ切れそうにない。
直は慣れた動きで皿に
移して、ラップをした。
「明日一度来たら、
食べ切りますね!」
「あぁ。」
そしていつもの様に、
直を送る為に秋山が
立ち上がる―ハズ
だった、けど。
彼は直を引き留めた。
「泊まれないのか」
「え」
「明日は朝から一緒に
出かけるんだし、食べ物
置いてくぐらいなんだ
から。」
「....まぁ」
直の顔がうつむく。
意外な反応に、秋山が
動揺した。
「乗り気じゃないのか
....?最初はお前の方が
泊まりたいと言って
くると思ってたくらい
だったんだが、なかなか
言ってこないから、
やっと今オレから言った
んだぜ。で?ダメなの
か?足りない物は買って
くるぞ。二日同じ服が
嫌なら、明日出先で
買ってやるから、
それまでのガマンだ。」
「いえ、そうじゃなくて
〜.....」
なら何なんだ。
秋山は動揺を越えて、
イラつき始めた。
それを感じて、直は素直
に泊まりたくない事情を
話す事にした。
―頬が赤く、声が小さく
て、萎縮した様子だった
けど、直はきちんと
伝えた。

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