☆晴天
□星に願いを。
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夏が間近に迫るある日、俺と、もう一人のクラス委員の末永は担任に呼び出された。
「今年、近所の幼稚園と合同で七夕飾り作ることになったんだな。これ配ってみんなに書かせてくれ。あぁ、幼稚園生が見るんだから下品な願いごととかしないようにちゃんと言っといてくれよ」
紐がついた縦長の紙の束を渡される。
…短冊か。
「―ばっかばかし」
「えぇー…いいじゃない、適当に欲しいものでも書いておけば」
教室に向かう道すがら毒を吐く俺に、末永は苦笑いを向けてきた。
「欲しいものなんて、こんな紙に書くまでもなく手に入れるし」
「す、すごいね高木は」
「第一他力本願ってのが好きじゃないんだよな」
「…でも、自分の力だけじゃどうにもできないことだってあるし」
困ったように笑う末永に、ふうんと生返事を返したけど、その意味なんて俺はよくわかっていなかった。
自力じゃどうにもできないこと、は、その直後に起きた。
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