☆PRINCE
□誕生日
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王子10歳
商人17歳
王子がばたばたと廊下を走り、城を去ろうとする商人を追いかける。
「…おい!お前!」
優雅に廊下を歩いていた細長い白い人影が、王子の必死の呼びかけに反応してゆっくりと振り返る。
そして、切れ長の瞳をさらに細め、微笑みかけた。
「…行儀が悪いですよ、王子」
「礼儀がなってないのはお前だ!誰が帰っていいと言った!?」
ぜえはあと息を切らしながらも毅然とした態度を保ち、まだ幼い手足を踏ん張って商人を見上げ、きっと睨みつけた。
…生まれながらの王族、と誰もが思う。
しかし嫌味にならないのは、まっすぐで汚れを知らず、ただすべてに一生懸命であることを隠そうとしないからだ。
「…今回も王子に気に入っていただける品物をご用意できなかったわけですから、私はおとなしく去るのが筋というものでしょう」