KRB夢

□3rd
2ページ/2ページ

うわー、これって慰めてくれてるってこと?

それとも俺、同情されてんのかな。

なんか、複雑すぎて、俺も素直に受け止められなくなってる…


黄瀬「…励ましてくれてありがとうっス。…けど…なんで藍っちにそんなことわかるんスか…?」

「!…」

黄瀬「いつかきっと勝てる、とか…祥吾くんの強さもわかってないのに」

「黄瀬くんは強いから。」

黄瀬「!?」


俺が言い終える前にかぶせてきた。

彼女の顔を見ると、いつもと同じ、凛とした表情だった。

その眼は、何の迷いもないってくらい綺麗だった。


「黄瀬くんは強い。がんばってるのを、私は知ってる。」

黄瀬「!…っ、でもっ…がんばってもどうにもならない時だってあるでしょ。現に俺は今日負けたんスから。」

「うん。あるよ。だけど、がんばってないなら、何も残らない。」

黄瀬「!」

「…黄瀬くんはがんばってる。だから悔しかっただろうし、絶対に超えたいって思ったんじゃない?」


後からバスケ部に入った俺は、

周りのすごい人達のことを尊敬して、

それでもいつか超えたいって心の中でずっと感じていた。

彼女にもその気持ちは見透かされていたんだね。


「黄瀬くんは、灰崎くんを超える。私が保証する。」


自信満々に言った彼女の表情は、とてつもなくドキドキさせられるものだった。


黄瀬「!…っ、ずるいっスよ、藍っち。」

「ん?ずるいって何が?」

黄瀬「…かっこよすぎっス。つーかかわいいし。」

「え?何て言ったの?聞こえなかったよ。」


聞こえないように言ったからいいんスよっ。

あー、もう。

藍っちには本当、心を揺さぶられてばっかりっス!


黄瀬「…ありがとう、藍っち。…それと、さっきは嫌な言い方してごめんね。」

「ううん。私こそ、蒸し返しちゃったようでごめんね。」

黄瀬「!…いやいや、いいんスよ。藍っちは謝ることないっス!」

「…ふふ。黄瀬くんってやっぱり…」

黄瀬「…やっぱり…?」

「正直で素直。…うらやましいくらいに。」


うらやましい…?

俺のこと、容姿で憧れてくれる人はいっぱい見てきたけど…

この子は俺の性格の部分をちょっとでも評価してくれてる…?

って!自惚れちゃダメだ。

それより…


黄瀬「…藍っちは、正直に、素直に、いられないんスか?」

「…んー…」

黄瀬「藍っちは、正直で、素直でいたいの?いたくないの?」


彼女の目をじっと見つめて言った。

そしたら、ゆっくりと俺のことを上目遣いで見上げてくれた。

…普通にかわいいっス…。


「…いたい、かな。」

黄瀬「だったら大丈夫っス。」

「…大丈夫、って…?」

黄瀬「なれるってことっスよ!俺が保証する。」

「!」


彼女のさっきの言葉を借りちゃった。

俺が笑ってそう言ったら、彼女も少し驚いた後、少し笑ってくれたんだ。















つづく
次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ