KRB夢
□10th
3ページ/3ページ
その日の部活も順調に終わり、各自自主練習の時間となった。
青峰は正直のところ気が気でなかったが、いつも通り自主練習に取りかかることにした。
多分しなかったら、ゆづきに何か思われるだろうと予想して…
同じ頃、
体育館の隅の方ではある二人が話をしていた。
赤司「ゆづき。」
「!…な、何?」
赤司がゆづきに声をかけた。
この二人は役職の関係上関わりも少なくはない。
だが、それ以上に深い関わりを持っている。
そのことはまだ誰も知らない…
赤司「お疲れ様。今日も一日ありがとう。」
「お、お疲れ様。…どうしたの?何か用事?」
突然のことということもあってか、平静を必死で装うゆづき。
思わず目線も赤司から外していた。
それを赤司は見逃すわけがなかった。
赤司「…部活中に俺と目を合わせて話すのは嫌なのかい?」
「っ!…」
その言葉に、思わず赤司の顔を見上げるゆづき。
じっと赤司の目を見つめると、少しだけ微笑んでくれたような気がした。
「そんな、ことない…よ。」
赤司「…練習中にプライベートな話をするのは好きではないが致し方ないので許してくれ。明日、父さんが一緒に食事をしないかと言っていた。昼頃何か予定はあるかい?」
「!…ううん、特にないよ。」
赤司「そうか、よかった。じゃあまた時間などは連絡するから。」
「わかった。…」
その数分だけの会話を、キセキのメンバーを含め他の部員達も横目で気にしていた。
赤司とゆづきの関係は謎に包まれているのだ。
数分後…
桃井「藍ちゃん!今日一緒に帰れる?ケーキバイキングのタダ券もらったの!行かない?」
「あ…さっちゃん、ごめん。今日は夕飯当番なの。」
桃井「そっかぁ。いつも大変だね。」
「ごめんね。…あ、テツヤくん誘ってみたら?」
桃井「えっ!テツくんを!?えー、そんなの恥ずかしいなぁ。断られたらショックだし〜。でもテツくんと行けたらそれはそれでハッピーだし〜…」
思わず笑ってしまったゆづき。
いわゆる恋する乙女の顔をしている桃井が微笑ましく思えた。
桃井「!…藍ちゃん、なんか最近よく笑うようになったね?」
「え、そうかな…」
桃井「うん、すごく柔らかくなった感じ。可愛さ倍増だねっ!」
「そんなことないよ。さっちゃんは口が上手いなぁ。」
桃井「他の人も言ってたよ。藍ちゃんの笑顔は可愛いって。ある男の子がっ♡」
「えっ!?」
桃井「うふふ。モテモテだね〜、藍ちゃん。」
桃井は黄瀬のことを言ったつもりだったが、ゆづきは青峰のことを言っているのではないかと思っていた。
ゆづきは少し恥ずかしくなった。
恋のラインはすれ違っていた…
つづく