KRB夢

□20th
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部活も終わり、自主練習の時間に切り替わった。

とうとう青峰っちは来なかった。

連絡もとれなかったみたい。

赤司っちと先輩は表情には出していなかったが、

決して胸中穏やかではない雰囲気でコーチのところへ行った。


数分後、また彼女がいないことに気付いた。

でも、理由はおそらくさっきと同じだろう。

青峰っちを探しまわってるんでしょ?


もし見つけたら何を話すつもりなんだろう…

昨日言ってたように、ケリをつけるつもり…?

正直、青峰っちの立場だったら、

振られるってわかってて彼女と会うのは厳しい…

っていうのはあくまで俺の予想だけどね。

青峰っちは薄々気付いているんじゃないかなって。

彼女と会うのが怖くて、

部活も来れなかったのかなって…

そんな気がするんだ。


…俺があれこれ言うのはおかしいかもしれないけどさ…。



黄瀬の予想通り、ゆづきは青峰を探すべく走り回っていた。

でも、一箇所に狙いを定めることに成功した。

きっと彼はそこにいる…

そう強く思っていた。


辿り着いたのは屋上の、そのまた高い場所。

ゆづきは懸命にハシゴを上った。

すると…


「…いた。…はぁっ…はぁ…」

青峰「!?…ゆづ…」


空を仰ぐようにして寝そべっていた青峰がいた。

手にはバスケのボールを持っていた。


青峰「…なんで、ここ…」

「…大輝の好きな場所、思い出したの。…っ」


一度だけ、ゆづきも一緒にここに来たことがあった。

付き合う前のことだが、

ゆづきにとっても印象が残っていた。


青峰「…部活は…あ、もうこんな時間か。…」

「!?…いつからそうしてたの?」

青峰「HR終わってからずっと。…」

「…何度もさっちゃんが電話したんだよ?大輝が部活来ないなんて、皆もびっくりしてたよ。」

青峰「…ペナルティ、ヤベェかもな。…」

「…明日は、行くよね…?」

青峰「…まあさすがに2日連チャンはヤベェよな。」


青峰はゆづきに気づかないように小さくため息をつき、

持っていたボールを見つめ、俯いた。


「…どうして、休んだの?」

青峰「…なんとなくだ。部活行く気分じゃなかった。」

「私のせい?」

青峰「!」


間髪入れずにゆづきは言った。

青峰が本当のことを言っていないと、

ゆづきにはすぐわかっていた。


「正直に、言って…?」

青峰「…ゆづのせい、じゃねぇよ。マジで。」

「…」


その言葉を聞いた後、沈黙が流れた。

ゆづきも何を言ったらいいのか、

わからなくなっていた。


青峰「…ゆづ。」


沈黙を破ったのは青峰だった。

いつもみたいな男らしい力強い声ではない。


青峰「お前、俺に何か話あるんだろ?」

「!…」

青峰「だから、ここに来たんだろ?…」


青峰は、これまでに見たことがないような寂しい表情だった。

ゆづきにもそれが痛いくらいわかった。

まるで、自分が別れを切り出すことを

わかっているような態度だったから。


青峰「…はっきり言ってくれ。俺は、もう、覚悟できてるからよ。…」


別れようとすることは、

こんなにも辛いことなのかと、

ゆづきは痛感していた。

青峰もまた、言葉とは裏腹に、

鼓動が速くなるのを抑えきれずにいた。


私は最低だ…

最低だからこそ、

今のままではいられない。

決めたことだ。

そうするしかない…


「…大輝。…私、大輝と付き合う資格ないの。…恋人として付き合うの、もう終わりにしよう…?」

青峰「!」


頬に涙がつたった。

同じタイミングだった。


























つづく
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