KRB夢

□23th
4ページ/4ページ

その日の部活終わり…

急だけど彼女と一緒に帰ることになった。

彼女は、昼休みの出来事について聞きたいと言っていた。

あれからなかなかゆっくり話ができなかったし、

俺もまだ彼女に話したいことがあるからちょうどよかった。


久しぶりの二人の時間。

大事に過ごしたいな。



俺達は並んで歩き、

向かった先は彼女の家の近くの公園。

ベンチに腰掛けると、いつもより彼女が近くに座ったように感じた。


黄瀬「足、痛い?大丈夫?」

「ん、大丈夫だよ。もうだいぶ痛みは引いたから。」

黄瀬「…俺が代わってあげたい…」

「!…それはできないね。」

黄瀬「んー、わかってるけどさっ…元はと言えば俺のせいじゃん…」

「黄瀬くんのせいじゃないよ。」

黄瀬「…俺、ファンとかいらないのにな…」


好いてもらえるのはそりゃ悪い気しないけど、

なんで妬むわけ?

そしてそれをなんで実行に移すわけ?

理解に苦しむよ…


「今、全国の非モテくんを敵にまわしたね(笑)」

黄瀬「えっ!?」

「ふふ。…」


こてん

と腕に何かが当たるのを感じた。

恐る恐る見てみると、彼女の顔が俺の腕にくっついていた。

しかも、

う、上目遣いで見てるし…!


黄瀬「!?…ど、どうしたんスか…急に…」

「…こういうの、嫌?」

黄瀬「嫌じゃないっスよ…そんな訳ないっス。…ただ、ちょっと意外っていうか…」

「…私も、人並みにジェラシー感じちゃったみたい。」


ん…ジェラシー…?


黄瀬「えっ…!?」

「モテモテの人を好きになるのも、楽じゃないのね(苦笑)」

黄瀬「!…俺…?」

「うん。…だから、たまにはこうして、独り占め。」

黄瀬「!!」


そう言うと、

彼女は頭をぐりぐりと俺の腕に押し付けて、

距離をどんどん縮めてきた。

こんな風にわかりやすく甘える彼女を見たのは初めてで、

俺の心臓はドキドキしていた。

あまりに緊張して、彼女の方を見れなかった。

でも、彼女が愛しくてたまらなかった。

彼女の肩を抱き寄せて、囁いた。


黄瀬「いつでも独り占めしてよ。専売特許っス。」

「…ふふ。」


甘い雰囲気が漂っていた。

このままずっと、二人でいたいな…


「…そうだ。ねぇ、昼休みのこと教えて…?」

黄瀬「あぁ、そうか。…えっとね…」



俺はあれから彼女に途中までついてきてもらい、

嫌がらせをした3人を放課後呼び出すことにした。


放課後、人目のつかないところで3人と向かい合った。

奴らは何か勘違いしていたようで、

頬を赤くさせてソワソワしていた。

これから何が起ころうとも知らずに。


黄瀬「…結論から言う。もう、くだらない嫌がらせはやめてくれないっスか。」

知代「!…え…」

和美「な、何のこと…?黄瀬くん。」

黄瀬「うちのマネージャーに嫌がらせしたの、あんたらっスよね?」

深雪「…まさか黄瀬くん本人が来るとはね。やっぱりあの子とそういう仲なんだ?」

黄瀬「俺と彼女?チームメイトだから彼女を守るのは当然っスよ。何かやたら勘違いしてるみたいだけど、あんたらはどうしたいわけ?俺達が付き合っててほしいの?違うの?どっちなわけ?」

和美「それはっ…!」

知代「…」

深雪「…黄瀬くんはあの子が好きなの?」

黄瀬「…好きって言ったら、もう何もしないって約束してくれる?」

和美「!?」

黄瀬「つーか、約束しろよ。今後一切、彼女に手出すな。もしまた何かしたらお前ら3人ともタダじゃおかないから。」

3人「!…」

黄瀬「マジだから。何か不満があるなら正々堂々と勝負すれば?お前らは卑怯だよ。」


言いたいことは山ほどあった。

その全部を言えたわけではないけど、

奴らの表情を見る限り、結構こたえたのかな…?

俺は去り際に1人の女子に呼び止められた。


和美「黄瀬くんっ…!私…本当に黄瀬くんのこと好きだったんだよ…!?」

黄瀬「!」


俺は振り返って言った。

ありのままの気持ちを。


黄瀬「ありがとう。でも、俺は彼女が好きなんスわ。ごめんね。」


きっともう、彼女に嫌がらせはしないと思う。

そう感じた。



黄瀬「…」

「黄瀬くん?」

黄瀬「!…あ、ごめんごめん。何だっけ?」

「どうしてもう何もしてこないと思うの?」

黄瀬「…ん。なんとなくっスよ。」

「えー?なんとなく?」


告白されたことは彼女に話さなかった。

俺はあの時のあの子の言葉を信じようと思った。

”好きだった”

あの子はそう言ったから、

きっともう何もしてこないと思うんだ。


「変なの。…でも、私も信じようかな。きっともう、何もないって。」

黄瀬「うん、信じよう。一緒に。…万が一何かあったら、俺が守るから。」


彼女を優しく抱きしめた。

もう、この手を離したくない…
















つづく
次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ