KRB夢

□24th
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ぎゅっときつく抱きしめていたら、

彼女も腕をまわして俺を抱きしめ返してくれた。

彼女と抱きしめ合っていると、

このまま時間が止まってほしいとさえ思う。


黄瀬「離れたくない…」

「!…うん。」


心の中で言ったつもりが、

口に出していたみたい。


黄瀬「!…聞こえてた?」

「聞こえてたよ、バッチリ。」

黄瀬「恥ずかしい…」

「ふふ。…まだ時間平気?」

黄瀬「!…えっ…」

「私も…一緒にいたい、よ。」

黄瀬「…!」



俺達は、二人きりになれる場所へ向かった。

俺の心臓のドキドキは、今までで一番うるさくなっていた。

だって、俺達が来たのは…


コンコンッ

ガチャッ


「…ねぇ、オレンジジュースで平気?」

黄瀬「う、うん…!あ、ありがとう!気遣わせてごめん、ね…?」


彼女の家に来た。

来てなんだけど、正直ドキドキがおさまらない…

まさか急にこんな展開になるなんて、

思ってもみなかったから。


彼女が持ってきてくれたジュースを飲む手が震える。

その動揺具合は彼女にもわかるほどだった。


「…緊張、してる?」

黄瀬「!…ご、ごめんっ…」

「謝らないでよ。」


彼女は優しく笑って言った。

俺とは違って落ち着いているみたいだった。

俺もできることなら平静を装いたいけど、

なかなか身体が言うことを聞いてくれない…


「…ごめんね?」

黄瀬「えっ!?な、何がっスか…!?」

「心の準備、必要だよね。家に行くって。急に誘って、ごめんね。」

黄瀬「いやっ…本当、藍っちが謝る必要ないっスから!俺っ…確かにちょっと…いや、だいぶ?(苦笑)緊張しちゃってるんスけどっ…決して来たくなかった訳じゃないし…むしろ、いつかは行きたいと思ってたし、夢みたいっていうか…」

「夢みたい、か…ふふ。」

黄瀬「あっ…なんか、俺…かっこ悪いとこばっか見せてるっスね…(苦笑)」


俺、こんなに女々しかったっけ?

こういう時こそ男らしく堂々としていたいのに…


「かっこ悪くなんかないよ?前にも言ったけど、黄瀬くんのそういう素直なところ、いいなって思うの。」

黄瀬「えっ…!」

「それに…黄瀬くんの緊張が、嬉しいよ?」

黄瀬「!?…緊張が、嬉しい…?」

「うん。だって、緊張してくれてるってことは…意識してくれてるってことかなって。…」


彼女には本当…参るよ。

どんだけ俺の心をくすぐるんだろうか。

彼女に、してもらってばかりじゃダメだよね。

俺は彼女の手を握った。


黄瀬「意識、しまくってるっスよ。好きな子の部屋に来て、二人っきりでいて…意識しないわけないっス。」

「!…ん。私も、結構緊張してるんだよ…?」

黄瀬「そ、そうなんスか…?藍っち、めっちゃ落ち着いて見えたんスけど…」

「落ち着いたフリしてたの。…なんてね。」


ぎゅっ

と、彼女の方から俺の背中に腕をまわしてくれた。

余計に胸のドキドキが速まるような、

それでいて、心地よく妙に落ち着くような、

そんな不思議な感覚に陥った。

俺も彼女の背中に腕をまわして、

包み込むように抱きしめた。


「…あったかい。」

黄瀬「うん、俺も。…」

「…鼓動がよく聞こえる。トクトク、って。」

黄瀬「…俺の場合、藍っちには緊張を隠せないんス(苦笑)」

「ふふ。…黄瀬くんといると、幸せだな。」

黄瀬「!…え…」


俺は思わず彼女を解放して、

彼女の顔をじっと見てしまった。


「幸せ、だよ。好きになった人に…黄瀬くんに好きになってもらえて、私は幸せ。」

黄瀬「…そんなこと言うの、本当ずるいっスよ…」

「正直に言ってみただけよ?」

黄瀬「…それがずるいんスよ…」


俺は彼女をぐいっと引き寄せ、

彼女の唇を塞いだ。

強引だったからか、彼女も少しびっくりしていたみたい。

でも、すぐに俺とのキスに応じてくれた。

唇が離れると、至近距離で見つめ合う。

お互い、少しだけ息が上がっていた。


黄瀬「…俺も幸せっスよ。本当に。藍っちに好きになってもらえて、本当に嬉しいっス。」

「ふふ。言われるの、恥ずかしいな。嬉しいけど。」

黄瀬「本当、大好きっス…」


再び深いキスを始めた。

溶けて一緒になりたかった。
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