KRB夢

□12th
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そう…

彼、赤司征十郎と私は、血の繋がった兄妹の関係なのだ。

母親はそれぞれ違うのだが、父親は同一人物。

赤司家という名家の主人、征のお父さんは、私のお父さんでもあるのだ。

昔、私の母は征のお父さんのいわゆる愛人という立場にあり、私を身ごもった。

その事実がわかった同時期、正妻である征のお母さんはすでに征を身ごもっていた。

この世の中こんな話はあってはならない。

ましてや名家である赤司家にとって主人の愛人の妊娠は、世間にも秘密にしておかなければならない事だった。

母は元々自立心の強い人だったらしく、妊娠の事実がわかった後も一人で育てる覚悟を決めていたという。

征のお父さんは養育費を払い続けたが、母はそれには一切手をつけずにここまで私を育てたらしい。


私がこの話を聞いたのは去年の夏…初めての全中で優勝した3日後だった。

私にとっては大きなショックだった。

母が未婚で、父親は健在ということは物心ついた頃から知っていた。

だけど、

腹違いの兄がいるということは知らなかった。

そこまではまだよかった。

けれど、

その兄という人が、自分の初恋相手だと知った時の衝撃は今でも忘れない。

私の初恋は、征だった。

もとい、

帝光中バスケ部の赤司征十郎くん、だったのだ。

清く、純粋な恋だった。

だけど、

兄と知った瞬間、それは許されない恋になった。

それからだ、私が感情を失い、誰も好きになれないと思ったのは。

私にとって、征以上に心を動かされる人はいなかった。


中学一年の春、バスケ部の仮入部初日に初めて征に会った。

一目で胸が高鳴った。

いわゆる一目惚れだったのかもしれないが、ルックスがタイプだとかそういう次元ではなかった。

とにかく、その独特なオーラに引き込まれたのを覚えている。

他の人とは違う、征から漂う雰囲気は私を虜にした。


話をするようになってからも征への興味はさらに湧いた。

目を合わせるだけで胸がドキドキしたり、声を聞けば不思議と落ち着ける感覚を得られた。

たくさんの感情を征は生み出してくれた。

私はそれを”恋”だと気づいた。

いつか想いを伝えられたら…とも考えていたほど、私は征のことが好きになっていた。

征がバスケをしている姿が好きだった。

バスケ部は厳しい世界で、征は一年のうちから一軍で活躍していたから、

絶対に征の邪魔をしてはいけないと思っていた。

私の恋は、心の中で静かに育てることにしていた。


征は他の女子からも人気だった。

気が気ではなかったけれど、私は密かに想うしかできなかった。

一軍担当のマネージャーになった時は他の女子からあれこれ言われたこともあったけれど、

私は私なりに征との距離を縮めたいと思っていたし、実際によく話す関係になれたことを嬉しく思っていた。


そして、転機は突然訪れた。

母から真実を告げられた。
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