KRB夢

□14th
3ページ/4ページ

…とは言ったものの、実際には己との闘いだった。

その日は朝から部活まで、彼女と関わる機会がいつも以上に多かった。


朝の学年集会では自然と彼女を探してしまった。

彼女とは隣のクラスだ。

おかげで2限目にあった合同体育では顔を合わせ、

3限目の移動教室では廊下でバッタリ会ってしまい、

4限目が終わった後の昼休みには食堂ですれ違った。

5限目が終わった後、

6限目で使う理科の教科書を緑間っちのクラスに借りに行ったら、

偶然その教室で彼女が友達と話していた。


神様のイタズラっスか…!?

ってくらい、彼女から気をそらせなかった。


そして今…

部活の時間になっても、彼女はすぐそこにいる。

しかも、今日に限って俺のグループ担当らしく、

ノルマチェックやタイマー係、得意のマッサージも彼女がしてくれるよう。

正直、まだ目は合わせてはいない。

昨日のことがあったから、かなり気まずい。

俺のせいなんだけど…

このままだと彼女の方が困っちゃうよね…


ピピーッ

と笛が鳴り、やっていたミニゲームのインターバルに入った。

彼女からタオルやスポドリをもらう時も上手く目を合わせられなかった。

俺は、意気地なしだな…


休憩も終わり、ゲーム再開。

ちゃんとプレーに集中はしていた。

…つもりだった。


黄瀬「っ!痛ーっ!」


俺は珍しく、チームメイトと接触して転んでしまった。


「!」


かっこ悪…

でも、そういう時に限って、彼女と関わっちゃうんだね…


俺はベンチに下がり、下を向きながら静かに腰掛けた。

すると、目の前に誰かが現れるのがわかった。

白くて細くて綺麗な脚、

すぐに彼女だとわかった。

ゆっくりと顔を上げると、ようやく彼女と目が合った。


「向こうで手当てするから、立てる?」


俺はコクンと頷き、ゆっくりと立ち上がった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ