KRB夢

□21st
3ページ/4ページ

あれからどのくらい経っただろうか。

彼女を家まで連れてきた時には、

姉ちゃん達が大慌てしてた。

…違う意味でね(苦)

母ちゃんは一人冷静に対応してくれて、

彼女を俺の部屋に運ぶのを手伝ってくれたり、

濡れタオルとか薬とかを用意してくれた。


今は俺のベッドで眠る彼女を

側で見ていることしかできない。

考えてみれば彼女はいつからあの場所にいたのかな?

寒いのわかってたんだから、

俺も便乗して長居するんじゃなかった…

風邪引かせたくなかったのに…


コンコンッ

とノック音がして、

母ちゃんが部屋に入ってきた。


黄瀬母「どう?まだ眠ってる?」

黄瀬「うん。…」

黄瀬母「あんた、彼女の親御さんには連絡したの?」

黄瀬「!?…してない。…番号…っ!あー、勝手に携帯見ていいかなぁ!?」

黄瀬母「いいから騒ぐのはやめなさい。起こしちゃうわよ?…電話、しておきなさいね。あ、突然男からきたらびっくりしちゃうかもね〜。あんたのこと知ってるのかしら。」


いや、さすがに知らないと思う…

ていうか彼氏じゃないのにいいのかな…?

いやいや、今は彼氏でいいだろ!

二人きりの時はそういう気持ちで…いいんだよね?


俺は彼女のバッグから携帯を取り出し、

連絡先を調べ、自宅の電話にかけた。

**

「「はい、もしもし。」」

黄瀬「あ、あのっ…俺、き、黄瀬涼太と申します!藍…ゆづきさんと同じ部活の者でして…」

「「!…黄瀬、どうしてお前が…」」


ん…?

え…?

何事!?

なんか、そういえば、

聞いたことある声かも…!?


黄瀬「えーっと…もしかして…」

「「赤司だが。」」


!?

何で赤司っちがー!?

え、どういうこと!?

なんで藍っちの家にいるの!?


「「驚いたよ。まさか黄瀬からこの家に電話がかかってくるとはな。」」


いや、驚いたのはこっちの方っス…

マジでまだ混乱して頭まわらない…


「「その様子だと、ゆづきは黄瀬のところにいるのかな?」」

黄瀬「!…そ、そうっス。なんでわかったんスか!?」

「「この時間にゆづきは自宅に帰っていなかった。ゆづきの母親は心配して俺に連絡をしようとしていたが、たまたま俺と父は用事の為にこの家に寄った。母親に落ち着くようにと今は風呂に行かせたのだが…というわけだ。」」


というわけだ。

じゃないっスよー!

何でこんなミラクルが起こるんスかねー


黄瀬「じゃ、じゃあ…とりあえず、赤司っちに話しておくっスけど…彼女、熱があって、今は俺ん家で寝てるんス。」

「「ほう、それは心配だな。あらゆる意味で。」」

黄瀬「何スか、あらゆる意味って…(苦)だから、お母さんに連絡しておこうと思って電話したんスよ。」

「「話はわかった。ゆづきは熱以外大丈夫なのか?」」

黄瀬「あ、うん。今のところ、ぐっすり眠ってるから。ひとまず様子見で…また目が覚めたら連絡しますって、伝えてもらえるっスか?」

「「ああ、わかったよ。伝えておく。」」


じゃあ、と切ろうとした瞬間、

赤司っちの声が続いた。


「「わかっているだろうが、相手は仮にも病人だ。俺の妹に変な真似はするなよ、黄瀬。」」

黄瀬「!?…し、しないっスよ!じゃあ、またね。赤司っち。」

**

ふぅ〜、

あー、びっくりした。

ある意味お母さんより緊張したかも(苦笑)

まさか赤司っちがいるとはねぇ。

でもそうかぁ。

藍っちにとっては、お兄さんなんだよなぁ…

…俺、藍っちと付き合うとかってなったら、

赤司っちにシバかれるかも?(死)


そうこうしてたら、

母ちゃんが、おかゆを作ったから彼女が起きたら食べるようにと言って、

部屋に知らせに来てくれた。

色々面倒かけてごめんよ、母ちゃん。

ありがたいな。


俺は彼女の顔を見ていたかったけど、

急に宿題の存在を思い出した。

明日は学校が休みだけど、

先生に提出しなきゃならない課題を出されたのだ。

まったく、この忙しい時に…

って、俺が部活ばっかで課題やらな過ぎたのが

まずかったんだけど。


コンコンッ

と再びノック音が。

今日は妙に騒がしいな。


はい、と返事をしたら2番目の姉ちゃんが入ってきた。


黄瀬姉「まだ眠ってる?」

黄瀬「ああ。…何しに来たのさ?」

黄瀬姉「彼女が心配でに決まってるじゃーん。」


心配ならそんなデカい声出すなよ、おい。


黄瀬「起きたら知らせるからっ。あんまり見に来るなよなぁ。」

黄瀬姉「だって涼太が彼女連れてくるとかっ…しかも初めてなのにいきなりおんぶして登場だし!あーあ、この寒空で何やってたんだか。」

黄瀬「話してただけだよっ!変なこと言うなー!」

黄瀬姉「何も言ってないし。変な想像したのは涼太でしょっ。エッチ〜」

黄瀬「っ…あー、もう!邪魔しに来たんなら出てけよー!」


バタンッ

と、姉ちゃんを無理矢理追い出した。

あー、もう魂胆はミエミエ。

俺が女の子連れてきたのがそんなに楽しいかね?

確かに初めてだけどさっ…


はぁ、なんかやる気なくなっちゃったし。

ちょっと休憩〜

彼女の寝顔を見て癒されよう。


…あー、かわいい。

思えば今、すごいレアな体験してるよね…

寝顔見れるとか…

白くて綺麗な肌だなぁ…

ちゅーしたいなぁ…


って!

いかんいかん。

これじゃあ赤司っちにマジでシバかれる!

…でも少しくらい…

ちゅって触れるくらいなら…


「ん…き、せく…ん」

黄瀬「っ!?」


彼女の顔を覗き込むようにして見ていた時だった。

どうやら寝言だったらしい。

…ん?寝言?

俺の名前…?(恥)


「…ん…あれ…ここ…」


本当に起きたー!


黄瀬「藍っち!大丈夫!?」

「!…黄瀬、くん…私、どうして…」

黄瀬「藍っち、熱出して倒れたんスよ!それで、ここまでおぶって…」

「!?…えっ、本当に…?ご、ごめんなさい!え、ていうかここ…どこ…?」

黄瀬「俺の部屋だよ。」

「!?」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ