KRB夢
□22nd
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学校に着き、部室に荷物を置いて着替えた後、体育館に向かった。
何人かすでにアップをしていた。
俺はいつも以上にキョロキョロと辺りを見渡したが、
青峰っちの姿はまだないようだった。
彼女によると今日は練習休まないらしいけど…
本当に大丈夫なのかな…?
あの二人…
俺もアップを始めて数十分経った後、
入口の方で女の子の声がした。
彼女と桃っちが練習で使う用具を運んでいた。
黄瀬「!…」
俺はつい視線をそっちに向けてしまっていた。
おかげで彼女と目が合った。
「…!」
黄瀬「!…(照)」
彼女は少しだけ笑ってくれた。
それだけで俺は顔が赤くなったような気がしていた。
それにしてもよかった。
彼女の熱がすぐに下がって。
本当はあんまり無理しないでほしいんだけどな。
*
部活開始の時間、5分前になったその時だった。
青峰「うーっス。」
黄瀬「!」
桃井「青峰くんっ!…」
「!…」
青峰っちが現れた。
少し汗をかいているから、
すでにどこかでアップしてきたと思われる。
桃っちが昨日連絡とれなかったことを言い攻めてて、
青峰っちが悪かったよと謝ってた。
彼女は…大丈夫かな…?
チラッと彼女の方を見ると、
複雑だけどいつも通りでいよう、
っていう表情で青峰っちを見ていた。
青峰っちから少しずつ、彼女に近付く。
青峰「…よう。昨日は、悪かったな。ゆづにも迷惑かけた。」
「!…んーん。…今日からまた、がんばってね。」
青峰「おう。…とりあえず、赤司んとこ行かねぇとな。マジでそれをがんばんねぇと…」
桃井「早く行きなさーい!超厳しいペナルティでも知らないからねっ!」
青峰「あー、わかったよ!保護者みてぇなことばっかすんなよなぁ、さつきは。…」
ふと、目が合った。
ぎくっとした。
黄瀬「!」
青峰「…よう。黄瀬。」
黄瀬「お、おはようっス。…」
正直、俺はかなり動揺していた。
何言われるか、マジで怖かった。
でも、あくまで平静を保たなくては…
青峰「…あとで1on1付き合え。」
「!」
黄瀬「!…望むところっス!」
青峰っちがこんな風に話してくれるなんて、
思ってもみなかった。
素直に嬉しかった。
俺は青峰っちに頭が上がらなくなった。
そしてまた、彼を尊敬した。
後から聞いた話によると、
彼女もこの時、感動していたらしい。
想像以上に青峰っちは大人だった。
部活が嫌にならなくてよかった。
お互い、バスケの選手として、
切磋琢磨しながらやっていけたらいいな。
*
部活も終わり、自主練タイム。
タオルを取りにベンチのところへ行き、
そのままわしゃわしゃと顔の汗を拭う。
すると突然、視界に入ったのはスポドリのボトル。
あー、喉渇いてたんだよなぁ…
もしかしてそれ、俺に…?
と思ったら、それを持っていたのは彼女だった。
「はい、どうぞ。お疲れ様。」
黄瀬「っ!?…お、お疲れっス…あ、ありがとうっ…お、俺が、もらっていいんスか…?」
「もちろん。」
昨日以来、今日はまともに話していなかったから驚いた。
正直、心臓ドキドキいってるけど…
あ、青峰っちは…いないのかな?
「そんなに警戒しなくても誰も見てないって。彼もいないよ。」
黄瀬「あ…そ、そう。…」
なんか俺だけビビってるみたいでかっこ悪いな。
それに比べて彼女はいつも通り、冷静沈着。
本当、青峰っちだけじゃなくて、
俺とも何もなかったような雰囲気で接してくるなぁ。
まあそういう約束なんだけどさ。
俺はドキドキしちゃってるよ?
だって昨日もあんなに一緒にいて、
しかも俺のベッドで寝てたんだし、
熱で弱ってたせいか妙に色っぽかったし、
マジでギャップ萌えだったわ。
それにそれに、今までで一番っていい程、
ディープなちゅーまでしちゃったし…!
「黄瀬くん、顔ニヤけてる。怪しいよ(苦笑)」
黄瀬「えっ!?ほ、本当…?」
「本当。…ふぅ、まったく。何思い出してたんだか。」
昨晩のあなたからのキッスを思い出してたっス…!
なんて言ったらマジで変態か。
「…黄瀬くんて…」
彼女は去り際に俺の耳元で呟いた。
「ちょっとじゃなくて、結構エッチなのね。」
黄瀬「!!…っ」
は、は、恥ずかしい…!
けど、
否定できないっスー!
ていうか、耳元で囁くのマジ反則!
誰かに見られてたら本当にまずいよ!
俺、絶対顔赤いだろうし…っ
あー!もうしばらくタオルかぶって休憩だっ!
くそぅ…また彼女に一本取られたって感じ。
でも…
なんか幸せだなぁ(泣)