れんあい!
□面倒からはじまる2人
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「優しく…すんな?」
「そうです。先輩はもう、私に優しくしないでください」
俯きながら目の前のチビは言い放った。
優しい?誰が?…俺がか?
…コイツは馬鹿か、そうか馬鹿だった。
屋上前の扉、学生の青春臭い告白のベタなシチュエーションなのに言われた言葉は想定外。
「俺、優しくないだろ、?」
「…普段は」
「じゃあ、いつ」
そう聞いた途端に、チビは目をそらし、しゃがみこんだ。
あー、何だ?もしかして、拗ねはじめたか?
俺もチビの目線にしゃがみこんでみる。
「ん?」なんて聞いてみるがチビは恐ろしく涙目だ。…めんどくせぇな。
「私が先輩のこと諦めよう、って 嫌いになろう、って決めた時に限って優しくって…苦しくて、苦しくて、苦しい時に限って手なんか差し出すから先輩はずるいんですよ…」
一粒、零れた。
お前が諦めようとか嫌いになろうとか知らねぇし、俺手ぇ差し出してねぇし、結論、優しくなんかねぇし。
いくらでもチビにツッコめるところはある、はずなのに。ぼんやりと俺の左手は伸び出した。
…あぁ、これがコイツの言う、“優しい”なのか。
「泣くな、めんどくせぇ」
「…ほら、そーゆーとこ」
「…悪い。」
「先輩の、ばか」
なるほどな、これはちぃと俺が悪いな。
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