えすえす!
□真夜中の猫
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別に怒られた訳じゃないのに、何故だか眠れない夜。
僕は、布団から音を立てぬ様にこっそり抜け出した。
ダイニングの木の椅子に座ると遠目の灯りが目に入る。
今何時かよりも眠れないことが問題の僕は椅子に頬杖をついて色んなことを考えた。
―だけど結局何の答えも出ずにますます眠れなそうな気がしてきた。
せっかく、干したての気持良いシーツなのに。
飼い猫のボーロがいつの間にか僕の足元に居た。
ボーロは滅多に鳴かないから、自分のことを人間だと思ってるんじゃないかな。
ボーロを見てると楽になる。
考えていたことが馬鹿馬鹿しく感じられてきて、ふらふらした眠気に誘われる。
寝ようかな、あぁでも寝れない気がするんだよな。
左足の周りをぐるぐると、
時々見上げるボーロは、まるで何かを伝えてるみたい。
まぁ…猫と人間だけどさ。
「寝よ…」
小さく呟いて布団に戻る。
廊下も何も怖くなんかない。
次の朝、きっと僕は寝坊する。それくらい、深く眠れたならばボーロが鳴く気がした。
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