えすえす!

□友達
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「…あんたさぁ、アタシよりも頭良いんだからココ使いなさいよ、コーコッ!」


こめかみを指先でツン、とつかれる。
全く、教えてるのは僕だって言うのに…何で彼女の方が優位に立ってるんだ。


「ほら、早く続き!」

「はいはい…」


生まれ持ったかのような綺麗な金髪と、短めスカート。小さなピアス、大きくキョロキョロと動く瞳の周りはグラデーションのアイシャドウが睫毛とケンカしている。
華やかで(色んな意味で)明るい彼女はふっくらとした唇を尖らせながら、毛先をペンでくるくると遊ばせている。


「…で、ここにさっきの式を当てはめて」

「なる、ほど。 っていうかよくこんなもん考えるわよね!」

「まぁ…」

「きっとこーゆーの考えるヤツなんて友達居ない屁理屈野郎よね。」


…コトバが痛い。
僕には友達、が居ない。
クラスメイトはあくまでもクラスメイトでしかない。
今、目の前で問題相手に唸ってる彼女だって、言うならばクラスメイトでしかない。


「例えば、あんたとか?」

「へっ?」

「あ、まさかの図星?わっ、かわいそー」


けたけた笑う。そう、図星だけに僕は何も言い返せないのだ。


「ねぇ、」


首根っこを掴まれ、一気に顔と顔が近づく。彼女の大きな瞳がイタズラそうに笑う。


「ねぇ、あんた。アタシと“友達”になろうよ」


音も立てず眼鏡をとられ、髪をくしゃくしゃとされる。
あぁ何も見えないじゃないか。彼女がボヤける。


「アタシだって、友達なんか居ないの。だから寂しいのよ、放課後に独りでアイス食べるのって。」

「はぁ…」

「だからアイス半分こしよ、一緒にプリクラ撮りにいこ。あとお昼も一緒に食べよ?」

「それって…」

「言っとくけど“友達”だからね?恋人とはまた別だから。」

「はい…」

「分かった?」

「はぁ」

「返事はシャキッと!」

「はい」

「うん、いいわ。」


眼鏡をちょん、と返され、彼女の満面の笑みが映る。金髪やメイクのわりに幼い顔立ちをしていることに気づく。

やや…というかだいぶ強引ながら高校に入ってはじめての友達が出来た。
正直に、素直に、じわじわと、嬉しさが込み上げてくる。


「そうと決まれば早いわ!勉強なんかやめて遊びに行こ。今日はアタシがおごったげる。」

「…分かりました」

 
きっと彼女も僕も、後で先生に怒られる。
それでも今から僕は、彼女と2人、アイスを食べようと思う。





















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