えすえす!

□人を見た目で判断しちゃ駄目
1ページ/2ページ



「・・・・」

無言だったけど、その人はすごく優しかった。
サングラスをかけてて、怖かったけど、その人はすごく優しかった。







「いらっしゃいませー」

自転車で10分程のコンビニ。
あたしはおやつを買いに自転車を走らせた。

いつもの場所に愛車を止めると同じくらいのタイミングで、駐車場に大きな、白い車が止まった。

ガシャン

あたしは愛車から鍵を抜き取りちらっとその車を見た。
…なんかガラ悪いなぁ、なんて思ってると兄貴(風の人)と子分(弟分風な人)が降りてきて案の定。作業服にサングラス、頭にタオル。どちらかというとやーさんに近いようなコワい人達。



弟分の人がドアを引き、兄貴的な人が入る。
あたしはゆっくり、意図的にタイミングをずらしてそのドアに近づく。


兄貴が入ると弟分はあたしを軽く見て、ドアから手を離した。
あぁ、コワかった。



「!」

そこであたしはビビった。
何故なら、兄貴が、ドアを引いた状態で私が入るのを待ってるからだ。
そろそろ歩くあたしを待って、ずっと片手でドアを開けているのだ。


「ありがとう、ございます」
 
小さく兄貴に言うと、彼は多分、頷き、あたしの方を見向きもせず、弟分のもとへと歩いていった。



人を見た目で判断しちゃダメだなぁ。人ってこんなに優しいんだなぁ。
お菓子を見ながらしみじみ思った。







あたしはその帰り道、優しい気持ちで自転車をこいだ。
















.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ