Novel
□怖がりカミーユ
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出撃から帰ってきたパイロットたち。
カミーユはブリーフィングルームでジュースを飲みながら、一息つく。
「ハァ…、今日は頑張ったな。」
今日のカミーユは、強敵にも恐れず立ち向かい、大きな戦果をあげたとして、ブライト艦長にも褒められた。
カミーユのパイロットとしての才能はすばらしく、どんな敵が相手でも決して怖気ずくことはない。
しかし、そんなカミーユの背中をクワトロは心配そうに眺めていた。
「あまり無理するなよ、カミーユ。」
「クワトロ大尉。」
クワトロはカミーユの隣に座ると、背中に手を回した。
「カミーユだけの身体じゃないんだ、私にとっても大切なんだ…」
クワトロはカミーユを軽く押し倒し、キスをしようと目を閉じた。
いつもと変わらぬ、カミーユの健やかな香りとしなやかな身体つきを感じると、クワトロは安心する。
「……やめてっ。」
カミーユの口から出た、拒絶の言葉に、クワトロは目を開けた。
「あ…ごめんね、大尉。
でもここブリーフィングルームだよ?
誰か見てたら…」
カミーユは顔を赤くして周りを見渡した。
「誰もいやしない。」
「でも…こういうのまだ、慣れてない。」
恋愛をあまりしたことがないカミーユは、クワトロとのキスや抱擁さえも恥ずかしがってしまう。
クワトロから目をそらそうと、斜め下に顔を向けるカミーユの長い睫毛や、白い頬は本当に女の子のようで可愛らしかった。
「じゃあ、たくさんして、慣れればいい。」
クワトロが優しく微笑んでカミーユの前髪を指ですくうと、カミーユはゆっくりとその長い睫毛を伏せた。
クワトロは包み込むように背中を支えてやり、カミーユに優しく口付けた。
普段、戦場では男らしく勇敢に立ち向かっていくカミーユが、自分といるときだけは、恥ずかしがりやで弱い部分も見せてくれるのが、クワトロは嬉しかった。
カミーユの華奢な腰は、普段の勇敢な少年とは違い、クワトロに守ってあげたいと思わせるものだった。
唇を離すと、カミーユは顔を真っ赤にしていた。
「じゃあ、僕はこれで、…さよならっ!!」
カミーユは大急ぎでブリーフィングルームを出て行ってしまった。
そんなカミーユの背中を、クワトロは可愛いな、と思いながら見送った。