黒と白の鍵合わせ

□続それは偶然で
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 俺は購入したエプロンの入った袋を片手に銀時のいる万事屋へと向かっていた。
訪れるのはコレで三度目。その前の二回とも仕事の件でここに来た。俺は入口にあるチャイムを鳴らすと暫くして人の気配が奥の方から向かって来る、そして開けられた扉の向こうに居たのは相変わらず死んだ魚のような目をした男だが身に着けているものが普通ではない。
「何だ・・・多串君じゃないかぁ」
「おい、その格好は何だ」
この家の主である男の格好は何時もどおりの服の上から水色の細かい刺繍のされたエプロンだった。しかもフリルもしっかり施された一品だ。
「あぁ、何だか番組見たとか何とか言ってヅラが寄越したんだよ」
エプロンの裾を持ち上げて見せるが何とも言えない気分だ。
「まぁイイや入れよ、茶はセルフサービスだ」
「あ、・・・あぁ」
俺は促されるままに家の中へと入るとそのまま居間でる部屋に入れば目に付いたのは机の上に積み上げられた箱。きっちりとラッピングのされた箱が数個積み上げられているのだ。
「何だこりゃ・・・」
「それ?同じように知り合いがエプロン送りつけてきたんだよ・・・流石にこんなにあってもなぁ」
「コレ全部かっ!?」
左手に巨大なケーキを手に俺の脇を通り過ぎ来客用としても使っているテーブルの上にそれを置き両手をきちんと合わせ「いただきます」と挨拶をして頬張り始めた。
軽いめまいがする。自分以外にもこれだけの人間が同じ事を考えていたとは。
「で?多串君は何のようできたのさぁ」
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