雑SS

□誓う鬼と眠る鬼
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愛とか恋とか夢とかーー…そんな曖昧なものは過去に捨てたつもりだったのに



『誓う鬼と眠る鬼』



この手の中で寝息をたてる漆黒の男を見つめながら髪を梳けばさらさらと指の間から落ちていく。
自分の肌と変わらない白い肢体にはいくつもの赤い花が散り元からある色香に花を添えていた。

この男を抱くようになったのは『ミツバ』という女性の死がきっかけだった筈だ。唯一のこいつが愛した女性、儚く美しくそして強い女性だった。
自分の死を正面から受け止め最後まで残される者たちを案じて笑みを浮かべて逝った彼女を見て俺は残されたコイツを守ると誓った。愛する相手を残すのはきっと辛かっただろう、だから代わりに俺があんたの分も含めて愛してやると。
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