雑SS

□父の日
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こんな日くらいは感謝してあげよう





父の日 ――大切な貴方へ感謝の心を――






目が覚めると神楽は何時ものように身支度を整え未だに寝ている銀時の腹に向けてダイブした。
「グェッ!!」
蛙が潰れた様な声が銀時の口から出たが知らぬ顔をして胸倉を掴んで揺する。
「銀ちゃーーん起きるアルよ!」
「ちょ、神楽ちゃん。起きる起きるから離して!」
神楽の馬鹿力で揺すられては起きれるものも起きれない。何とか開放されて漸く一息つくと未だに己の腹の上に乗っている彼女を退かそうとするもしがみ付いて離れない。
「何なんですかぁ、銀さんは厠に行きてぇんだけど」
「これ銀ちゃんからニコチンに渡すアルよ」
差し出されたのは茶色い封筒。きっちりと糊付けされたそれを透かしてみるも見えない。上から触ってみる限りでは名刺サイズの紙が入っているのだけは分かった。
「いいアルか、開けたら承知しないネ。絶対今日中に渡すアルよ!!」
それだけ言い残してあれだけしがみ付いていた神楽はあっさりと離れ「散歩に行ってくるアルね」と家を出て行ってしまった。
残されたのは一枚の封筒。
「あいつ等って仲良かったけか?」
いつも顔を合わせれば土方にたいして嫌味を言っていたような記憶しかない。二ヶ月ほど前、自分が土方と恋人同士になった頃から前々から悪かった態度が悪化したのだ。土方曰く自分を土方に取られるのが嫌で仕方が無いらしい。それを聞いた瞬間可愛くて仕方なかった。
「まぁ折角だし多串クンの所にでも逢いに行ってやります」
ひらひらと封筒を振り土方のところに行くべく仕度を始めた。


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