雑SS

□リング(前編)
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翌日早朝に土方は最後の打ち合わせの為に茶屋を出ていった。
残された俺は時間いっぱいまで惰眠を貪り茶屋を出ようと支度をしていると窓を叩く音に気付いた。鍵を開けずに覗けば白い奇妙な生き物を連れた嘗ての戦友である桂が見上げているのが見えた。
「こんな時間に何だよ?ってよく此処にいるの分かったなヅラ」
「ヅラじゃない桂だ。我々の情報を侮るな」
「単なるストーカーじゃねぇのか…」
裏路地で民家に背を預ける様に座り込み下から桂を見上げると眉間の皺がよく見えた。
「でッ?」
話を促す様に言えば一度頷き真剣な目で言われた言葉に俺は理解するのに時間が掛かった。
「…は?もう一度言ってくんねェ」
「真撰組が潰されるぞ」「何だよそりゃ!意味わかんねぇだろ」
今まで幾多の事件に巻き込まれながもしっかりと仕事をやり通した真撰組が潰されると言われても信じられる訳がない。
「今回の一連の攘夷の動き怪しいと思って調べてみればお上と関わりがあるのだ。これに首を突っ込めば反乱を起こした者として処罰されるぞ」
「……何だよそりゃァ…最初から真撰組潰しの為の事件だったてのかよ」
予想していなかった事件の真相に愕然とした。
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