雑SS

□夏だから
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落とした物を食べる気にもなれず皿の上に戻して体に付いたスイカの汁を手で拭うが糖分が含まれている所為でベタベタする。
海で流してこようかと腰を浮かせた土方の銀時が止めた。何だと見れば彼の顔には満面の笑み。ただし純粋ではなく何かを企んでいる時に見せるものだ。

「おい…何考えてやがる」
「いやぁ、折角のスイカが勿体ないなァと思ってよ…」
「仕方がねぇだろ」
「んー…だから銀さんが責任持って食ってやろうかとね」

そう言って銀時は土方の腹部に顔を近づけ赤い跡を舌先で舐め上げ、チラリと見下ろす土方を伺えば先とは違う鋭い目をしていた。こんな目をするのは獲物を前にした時。
何度も舌を這わせていると土方の節くれだった指が銀時の背を緩く撫でる。それだけでビクリと身体が反応してしまう。

「人の事食うとか言いながら随分良い顔してんじゃねぇか」
「土方だって…人の事言えるかよ」

銀時は土方の首な腕を回しながら口の端を上げた。
本当は食うと言いながらも抱いて欲しいと言えないからの行動だっただけ。午前中に浜で女性に声をかけられていたのを見て嫉妬したのは内緒である。




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