A lethal dose love -致死量の愛-
□泡沫
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出逢いは突然。
泡沫
廃棄物処理場に人間が住みつき、都市化した“流星街”。
それは、独裁者の人種隔離政策にその発端を持ち、廃棄物の処理場として1500年以上前から存在するが、現在も公式には無人とされており、地図にも掲載されてはいない街。
棄てられて行くものは、無数のスクラップから大量の粗大ゴミ、時には人間に至るまで…種類も量も無駄に豊富だ。
その日も何となく、何か珍しい物でも落ちてないかなって散歩していたんだ。
──ガタンッ、バタッ…!
不意に物音がして、その場から土ぼこりを巻き上げて走り去る車が視界に映った。
車でわざわざ捨てに来るなんて、何か処分に困った大きな物なんだろう。
動かない機械とか要らないんだよな、出来れば本がいいんだけど…とか思いながら近付いた。
でも、其処に有ったのは、
「人間…?」
自分より小さい女の子だった。
「う…痛い、」
「!」
生きてる人間もよく捨てられるけど、此処では死体の方が圧倒的に多いから、てっきりあの子も死んでるのかと思っていたら、ふいに長い睫毛に縁取られた目蓋が開いた。
「此処、…何処…?」
捨てられた時の衝撃によるものか、それ以前に負ったのか、彼女は頭から血を流していて、その傷を抑えながら…恐らく来た事の無い流星街の敗退的な風景を眺めていた。
「流星街だよ」
普段なら捨てられた人間なんかに興味は無いのに、何故かその時は気付いたら彼女に話し掛けていた。
「流星街…?」
「まあ、普通の人間は知らないか。地図にも載ってないし…簡単に言えばゴミ処理場かな」
「え?あたし何でこんな所に…」
「さっき君が誰かに捨てられる所を見たけど…その若さで恨みでも買った?もしくは親に見放されるような、」
「っ!?そんなわけないよ!あたしは…っ!?あたしは…、」
彼女は突然黙って考え込みだした。
何か心当たりでもあるのかと思ったら、
「…?あれっ…あたしって何処で何してんだっけ…?お兄さん、知らない?」
笑顔で俺にそう問いかけてきた。
「え」
思わず「知るわけないだろ!」って、心の中で全力で叫んだけれど、その笑顔があまりに可愛いから、
「俺はクロロ。君は?」
そう尋ねていた。
「あたしの名前…、…そうだ。アメリア、アメリアって言うの」
彼女が持ち合わせていた記憶はそれだけだった。
自分の名前。
それ以外、この時から現在に至るまで思い出す事は無かった。
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